韓国出身の世界的バイオリニスト鄭京和が、ヴィヴァルディの「四季」を演奏する全国縦断コンサートを行う。音楽の再創造に取り組んできた鄭は、激情と情熱にあふれた「四季」を披露する。音楽家としての歩み、日本公演の見所について聞いた。
鄭京和は今年5月、弟で世界的指揮者の鄭明勲との共演を日本で行った。
それに続き、今年2度目となる日本公演で披露するのが、ヴィヴァルディの「四季」とバッハの「無伴奏バイオリンのためのパルティータ」だ。
鄭京和は2000年9月に「四季」をレコーディングし、自ら韓国語による曲の解説も入れたCDを発売している。鄭が感じた「人生の歩み、季節感」をどう音楽に表現したかが、そこでは語られている。
「素晴らしい体験となるレコーディング。ヴィヴァルディを自分の中に吸収し、演奏によって再び表現することが出来た。芸術家にとって最高の喜びの瞬間だった」
今回のコンサートについては、「音楽を通じて感情の交換ができる日本ツアーはいつも楽しんでいるが、今回は特に、優秀なソリスト集団である室内アンサンブル『インターナショナル・セジョン・ソロイスツ』との共演なので楽しみ」であり、「今回のプログラムを見て、バッハとヴィヴァルディのコンビネーションが一瞬変だと思われるだろうが、両方とも1720年前後に作曲された曲。ただしイタリア(ヴィヴァルディ)とドイツ(バッハ)の陽と陰のコントラストが強いので、曲にも反映されている。このコントラストを、聴衆の息づかいを察知しながら描き分けたい」と述べる。
現在、ニューヨークに拠点を置いて演奏活動と16歳と13歳の男児の子育てを行う鄭京和だが、「子育てから多くのことを教わった。子供たちはいまが大切な時期だし、音楽にも興味を持ってくれているので、きちんと見守るようにしている」と話す。今後、弟のように後輩を育ててみたいという希望も持っている。
来年、サッカーワールドカップ(W杯)の韓日共催大会を控えた韓日関係については、「韓日のいまだあるわだかまりは、音楽を通じて解決するのが最良で手っ取り早い方法だと思う。弟の明勲が行っているアジア・フィルの活動もその一環だ。演奏で両国の関係を良好なものに出来るように、私もがんばっていきたい」と強調する。