韓国を代表するピアニスト・白建宇の日本での初公演(読売新聞社、韓国文化院主催)が、10月6、8の両日、都内で開催される。白は「鍵盤の巡礼者」「魂のピアニスト」と評され、世界的にも高い評価を受けている。
世界で活躍する韓国出身の音楽家は、指揮者の鄭明勲、その姉でバイオリニストの鄭京和、ソプラノ歌手のチョー秀美、金英美などがいる。ピアニストの白建宇さんも、その卓越した演奏で世界的に名声を誇っている1人だ。
初来日となる今回の演奏は、6日が読売日本交響楽団と共演する協奏曲コンサート、8日がソロリサイタルになる。
白さんは母がオルガン奏者、父も音楽好きの家庭で育った。幼少からピアノを習い、10歳で初めてオーケストラと共演。奨学金を得て15歳でニューヨークのジュリアード音楽院に入学し、マダム・レヴィーン、イローナ・カボシュ、グイド・アゴスティらに習った。
69年にブゾーニ国際ピアノコンクール、71年にナウムバーグ国際ピアノコンクールで優勝。一躍名声を博す。
82年には生活拠点をフランスに移し、音楽活動を1年間休止する。音楽と自分自身を見つめ直すのが目的だった。
その後、欧州を中心にコンサート、録音活動を再開。ラヴェルのピアノ曲全曲演奏、リスト、ショパンなどに精力的に取り組む。特にブゾーニ作品への取り組みは、ライフワークとなっている。
韓国では75年の光復30周年記念音楽祭に参加、その清らかな響きで強いインパクトを与えた。96年には明洞聖堂でピアノリサイタルを開き、メシアンの難曲を韓国で初演した。
99年にはソウル国際音楽祭の開幕公演を務め、2000年にはサムスン文化財団の湖巌文化賞を受賞している。
CDはこれまでに、「ラフマニノフ・ピアノ協奏曲集」「プロコフィエフ・ピアノ協奏曲集」などをリリース。特定のレーベルとの専属契約は結んでこなかったが、2000年にDECCAレコードと契約を結び、「バッハ=ブゾーニ・トランスクリプション集」をリリースした。
白さんは「日本のクラシックファンは質が高いので、公演が楽しみだ。韓日間は現在ぎくしゃくしているが、芸術には関係がない。ぜひ演奏を楽しんでほしい」と話す。