韓国の音楽、書籍、映画のベストテンは。音楽は、ポップス系でリメイクの上位ランク入りが目立っている。ヘ・ウニのデビュー曲がベストワンに。書籍には変化が。常連だった「棘魚」が圏外に去り、1位には現代風小説「鋏虫」が登場。映画は「友だち」が大ヒットし、「共同警備区域」の観客動員数を塗り替えた。
音楽
リメイク曲が1位に
ダンスミュージック全盛、勢いはとどまるところ知らず
。
次々と新しいグループや歌が生まれ、また消えて行く。歌謡曲は時代を映す鏡といわれるが、あまりにも多い大同小異のパターン、繰り返しはファン離れにならないか?
そんな目でチャートを見ていると、ポップ系1位に四半世紀を越えてヘ・ウニのデビュー曲が人気女性グループ、ピンクルにより見事復活した。
この曲は故吉屋潤作詞・作曲の代表作で、75年“綿菓子のような
”と紹介されデビューしたヘ・ウニの容姿、美声と相まって歌謡界に衝撃を与えた名曲。メロディがいつまでも耳に残っている。
韓国演歌系のリメイク曲(リバイバルと表現)は日本よりはるかに多いが、最近、ポップ系でも試みが多くなってきた。レゲエの申し子といわれたキム・ゴンモの「9年目の新アルバム好調70万枚!」という最新ニュースによれば、《妻に捧げる歌》など、5曲はリメイク曲で中高年層にも歓迎されているという。今後の進ちょくに注目したい。(㈲ツカサ・コミュニケーションズ代表・小平武司)
書籍
「鋏虫女性」が一躍トップ
サイバースペースを流浪する現代人の孤独と自己混乱を描いた「鋏虫女性」が出版1カ月でベストテンの1位になった。ある日突然、記憶を失った男性と同居の女性が、もう一組の男女のカップルとお互いに記憶を移植しておこる出来事を描いた小説。「鋏虫」は記憶を移植した者の肩に表れる刺青で、サイボーグ人間のバーコードを意味する。
2位の「11回目のリンゴの木」は清純な恋の物語。植樹の日に初恋の女学生とともにリンゴの木の下に恋の約束文を入れたびんを埋めて、10年後に掘る約束をしたものの、彼女とは別れることになる。厳しい競争時代に生きる現代人に叙情的な感動を与える小説。
ソウル大学に入る実力のない平凡な息子を、米国の名門大学に進学させた作家の経験をつづった「ソウル大よりハーバード大を目指そう」は4位。子供を人間らしく育てる指針となる書だ。
実在の人物の成功物語「商道」と、寓話による処世術「チーズはどこに消えた」は相変わらずの人気。
映画
「友だち」が入場者新記録
韓国映画の興行記録を塗り替えている「友だち」がベストテンの1位。実話を基に、竹馬の友である4人の男の友情を描いた作品。特に30―40代の男性に人気が高く、「共同警備区域」の入場者数を上回った。映画のロケ現場となった釜山を観光名所としてよみがえらせたり、復古調を流行させるなど社会現象にまでなっている。
夫を殺した容疑で死刑の宣告を受けた被告人と、彼女の国選弁護人とのラブストーリー「インディアン・サマー」が2位に入った。小春日和という意味のタイトルは、二人の人生で最も美しく輝く瞬間を意味している。
封切り1週間で堂々3位にランクされた「パール・ハーバー」。戦争を背景にしてるが、単なる戦争映画ではない悲劇のラブストーリーが人気の要因。
人気復活の韓国映画と、伝統的に人気のある米国映画の中で、ドイツ映画が5位にランク入りしているのが注目される。