ここから本文です

2002/11/08

<韓国文化>57年ぶりに日本美術の名品公開

  • bunka_021108.jpg

    三木翠山作の「舞女」。今回展示される日本画の傑作のひとつ

 「韓日国民交流年」を記念し、ソウルの国立中央博物館では12月8日まで「国立中央博物館所蔵 日本近代美術展」を開催している。今回公開される日本近代美術品は、国立中央博物館が所蔵する198点の作品のうち、日本画と工芸品70点で、日本の伝統文化を継承・発展させ新たな芸術世界を確立した重要な作品ばかりである。

 国立中央博物館が所蔵する日本近代美術品は日本の植民地時代、植民統治のための文化政策の一環として、李王家美術館を運営した際、購入あるいは寄贈を受けた作品だ。

 1933年10月1日から1945年3月まで、徳寿宮石造殿には日本近代美術が展示された。

 日本は実権を失った純宗を慰労するという名目で1908年、李王家博物館を建設した。さらに1915年、植民地支配を正当化する観点で建立した朝鮮総督府博物館に陳列、さらに日本の現代美術館を徳寿宮石造殿に開設、運営した。

 また日本現代美術が陳列された徳寿宮石造殿(旧館)の西側に別な石造殿(新館)を作り、旧・新館合わせて李王家美術館と呼んだ日本は韓国の古美術品と日本の現代美術品を両館に陳列して、〝過去の朝鮮、現在の日本〟という、誇示的文化政策を実施してきた。

 このような日本文化の優越性を宣伝する意図で立案・実行された美術館政策は、当初は多くの反対と批判があった。しかし、年を経るごとに権威が高まり、日本現代美術の陳列は、帝国美術院、京都美術学校、京都市立美術工芸学校など各種日本の美術団体の支援を受け、存続した。

 李王家美術館では陳列された作品の一部を購入した。1969年、李王家美術館は国立博物館に統合され、今日の国立中央博物館の日本近代美術コレクションを構成する。

 1945年の解放以降、韓国政府は〝国民感情〟などを理由にこれらの作品の展示・公開はなされず、60年近くベールに包まれてきた。一旦は昨年秋に公開が決まったものの、教科書問題にかかわる両国関係の悪化で延期になっていた。

 今回の公開について、国立中央博物館・池健吉館長は、「韓日両国の関係が円熟期に入り、日本支配の暗鬱な時代の文化を充分消化できる程度に文化的側面が成熟した今日、特別展を開催することになった」と経緯を説明している。

 同博物館の金スンヒ学芸研究員は、「最近、日本文化開放と韓日文化交流が活発に行われている中で、国立中央博物館所蔵の日本近代美術品は、私たちにとってまた違った日本文化の理解と解釈の領域となっている」と日本近代美術品公開の意義を述べた。

 今回は公開点数の規模が大きいため、国立中央博物館は3回にわたって展示品目を入れ替える。12月8日までの国内展示の後、来年4月から6月末まで日本の東京芸術大学と京都国立近代美術館で展覧会が開催される。