漆工芸作家、全龍福さん(50)の自伝的エッセイ「魂」が韓国で大ベストセラーとなり、日本でも来春、発刊されることになった。
全さんは、目黒雅叙園(東京都目黒区)が改築工事を行った際、同園が所有する漆工芸品や螺鈿細工の修復を依頼され、88年に来日した。以後、3年あまりの歳月をかけて、岩手県下閉伊郡川井村で約2000点におよぶ作品を修復。さらに、修復の傍ら螺鈿に蒔絵を施した漆芸壁画の大作やエレベーターの螺鈿装飾を手がけ、その業績は国際的に高く評価されている。
「魂」には、貧しい幼年時代や父母の思い出、命がけで挑んだ雅叙園での修復作業の苦闘などがつづられているが、特に感動的なのは、いまも住み着いている川井村の住民達との交流である。
全さんは、韓国のことをまったく知らない過疎の村に家族ぐるみで移住し、閉鎖的な村に溶け込んでいく。韓国の文化や習慣を教え、議員や子どもたちの韓日交流を実現、国際化と無縁だった村は大きく生まれ変わった。
この本には、漆という伝統文化を保存し、自国の文化に誇りを持つことを日本人に伝えたいという全さんの情熱があふれ胸を打つ。
目黒雅叙園は、正月特別企画(1月1―5日)として保存建築の見学をかねたバイキングプランを用意している。昭和初期の貴重な美術工芸品や全さんのすばらしい作品を直に目にすることができるまたとない機会だ。
ご予約・お問い合わせ/販売促進課(10:00~18:00)
℡ 0120-66-3751
http://www.megurogajoen.co.jp
◆昭和の保存建築見学バイキングプラン
日程 2003年1月1日(水) ~ 1月5日(日)
料理 折衷料理バイキング&フリードリンク
時間 Aコース受付(正面玄関)10:00
Bコース受付(正面玄関)12:00
料理 一 般 7,500円
お子様(小学生) 3,500円