ここから本文です

2002/03/29

<韓国文化>韓国人家庭の日常生活紹介

  • bunka_020329.jpg

        色とりどりのふとん類や韓服などがしまわれたタンス

 国立民族学博物館(大阪・千里)では韓国国立博物館と共同で、両国の生活文化の理解に資す特別展「2002年ソウルスタイル―李さん一家の素顔のくらし」を21日から開催中。展示場1階の中央部に、ソウルの高層アパートにすむ李さん一家の協力を得て、彼らのくらしがあるがままに展示される。

 同展では、「これが韓国のくらしだ」というステレオタイプ的なものを見せるのではなく、李さん一家のくらしを通して韓国の人々のくらしのあり様を見てみようという方法で展示を行う。そして周辺に、「子どもたちの部屋から学校へ」、「夫婦の部屋からお父さんの職場へ」、「おばあちゃんの部屋から故郷へ」、「台所から市場へ」という具合に、李さん一家それぞれの活動する生活空間を演出して展示する。

 学校の展示では、小学校4年生の女の子が通う教室を再現する。ここでは小学校の教科書をはじめとする資料展示だけでなく、授業や給食の様子を撮影した映像資料も見ることができる。

 お父さんの職場の展示は、普段、自分の父親の職場を見る機会の少ない日本のお父さんを再発見させてくれるかもしれない。

 故郷の展示では、日本人が歴史を教科書や本、あるいはテレビなどを通して頭で理解するのに対して、韓国の人たちは故郷にあるお墓やお墓に眠る祖先を通して過去、すなわち歴史を認識しているということがわかる。

 また展示場地下には、韓国の食の世界を示す「みんぱくシジャン(市場)」を、前庭にはパフォーマンスを公演する「みんぱくマダン(広場)」を設営し、会期中、日曜・祝日を中心に韓国料理の販売とさまざまなイベントや公演を行う。「みんぱくゼミナール」(別掲)も開催される。

 当初は数日の予定で開始した調査だが、結局3週間におよび、のべ40人を要する要する作業になり、資料も約3200点にのぼった。

 展示の事前調査を担当した同博物館・佐藤浩司助教授は、「デジタルカメラ2台を使って、2班にわけて作業を続けた。家のなかのものを勝手にあらさがしされるだけでもふつうなら勘弁してほしいと思うところだが、無事に調査を終えることができたのは、李家のオモニ(お母さん)である金英淑さんみずからが、調査の一員として積極的に作業をリードしてくれたから」と、李さん一家に感謝した。

 同展実行委委員長の朝倉敏夫・同博物館教授は、「隣家におじゃまする感覚で今回の特別展を見に来ていただければと思う。この展示の中から隣国・韓国のくらしが日本人のくらしと似ているとともにさまざまな違いもあるということを発見できるはず。そうした発見が、異文化理解、国際理解への第1歩となると思う」と話す。

 ソウルの韓国国立民俗博物館でも現在、現代日本の生活展が開かれ、京都の町屋と、兵庫県西宮市の女子大生のワンルームマンションが再現されている。


日程:3月21日~7月16日、午前10時~午後5時。 
休館日:水曜日(水曜日が祝日の場合は、翌日休館)
観覧料:一般830円、高大学生450円、小中学生250円。
℡06・6876・2151(国立民族学博物館)


みんぱくゼミナール
「韓国『展示の中の日本』展から」4月20日午後2時
「東京スタイル◇ソウルスタイル」5月18日午後2時
「ソウルスタイル―1979~2002」 6月15日午後2時