韓国の定型詩「時調(シジョ)」を紹介している「在日の時調(三行詩)の会」(金一男代表)が、「在日の時調(三行詩) 2001年生徒作品集」をこのほど発行した。金剛学園、東京韓国学園、宝仙小学校に通う在日生徒の作品が収められている。
時調の会にはこれまで小中学生の作品も多数寄せられてきたが、その作品を収録したのが今回の「在日の時調 生徒作品集」だ。大阪・金剛学園、東京韓国学園、宝仙小学校の児童、生徒の作品、約70編が集められている。
時調は、3行詩(1行20字以内)のスタイルで作る詩。言語表記は日本語でもハングル、英語でもよく、制約が少ないので子どもでも作りやすい。
金剛学園に通う中学2年生、崔有美さんの作品「金剛学園」は、「外見はちっぽけな金剛学園 中身は立派な金剛学園」と学校への思いが伝わる。同じ中学2年生の呉智恵さんの作品は、学校生活から米テロ事件と平和の問題まで取り上げた連詩だ。体験学習とは毎年夏に行われているキャンプのこと。
時調の会会員で金剛学園の教師を務める金日龍さんは、「三行詩の中に自分の主張したいことを表現する訓練をすることで、作文能力が付く。いまの子どもはおしゃべりはしても言いたいことをまとめるのが下手なので、その訓練になる。中学2年生になると自我の確立が出てくるが、それがうまく表現された詩もある」と話す。
東京韓国学園の小学6年生、ホン・ソンナム君の「シャボン玉」は、韓国語と日本語で書かれた。
同校の姜仁淑先生は「生徒が詩を作るのを楽しみにするようになった。子どもの感性豊かなのに驚く。生徒間で作詩の輪も広がっている」と語る。日本語講師の高麗児さんは、「2年間指導している。目に見えないものの表現の仕方とか、擬態語の使い方などを教えている。表現の成長ぶりに驚いている」と話す。
◆伸び伸びした発想 金一男・同会代表の話
「子どもたちの作品を見ると、とても発想豊かで伸び伸びしていて、私たちも学ぶところが多い。子どもたちの励みとなるよう、応募作品から優秀賞を選考したいと考えている。2月中に選考し、3月には発表したい。子どもたちが自身の生活を大切にし、心を充実させていくのに、時調が役立てばうれしいことだ」