アジアのインディペンデンス系映画を紹介する東京フィルメックスが先月末、9日間の日程を終えて終了した。同映画祭は2000年にスタートして今回が4回目。今年は韓国映画4本を含む36本が上映され、昨年を1割上回る1万7254人が来場した。コンペティション部門に出品した金ソンホ、張駿桓の2人の若手監督に話を聞いた。
◆「鏡の中へ」 金ソンホ監督
大学は建築科に通い、設計事務所で2年間働いていたが、設計という表現方法には限界があり、もっと直接的な表現をしたいと考え、映画づくりを決意。会社を辞めて米国に映画留学した。
帰国後、今回のシナリオが釜山映画祭の中の新人監督発掘の企画で選ばれ、初監督する支援を得ることができた。
作品の意図だが、鏡の中に写る自分は何者なのか、もしかしたら幻かもしれないというところからスタートした。鏡の中の自分の暗い部分に直面する映画だ。そして本当に一番恐いのは、他人ではなく自分であることを訴えようとした。
主役には人気俳優のユ・ジテ氏しかいないと考えていたので、シナリオを送ったら関心を持ってくれた。ちょうどユ・ジテ氏が日本へ短期留学をしていたので会いに行った。出演を快諾してくれたことに感謝している。
鏡が重要なシチュエーションなので、撮影中、カメラが鏡に映らないように撮るのが大変だった。一つ一つカットの位置や角度などシュミレーションを重ねた。
これが監督デビュー作だが、今後も観客を驚かせる作品を撮りたい。日本の映画ファンにも楽しんでもらい、作品を通して韓日交流に寄与できればと考えている。
◆「地球を守れ」 張駿桓監督
『地球を守れ』は、地球上に生きている私、特に私が生活している韓国で感じた人々の感情、中でも憎しみという感情をテーマにした作品だ。
誰かが地球の外から私たちを見たら、私たちはどんな生き物に見えるだろうか。そんな問題意識から出発した。人々の憎しみが増幅された結果が、"地球破滅"という形になる重いテーマの作品だ。
最終的に地球は破滅する悲しい結末だが テレビ画面の中には、それとは対照的に楽しい懐かしい地球の場面が現れる。それによって、地球にはまだまだ暖かい気持ちがあると伝えたかった。
最初は山奥と地下室だけの撮影による低予算映画を作るつもりだったが、途中からCGなど取り入れたいと思うようになり、結局製作費は高くなってしまった。
主演を申河均氏にオファーした時、違う映画の撮影中で断られたが、2回目にオファーした時に引き受けてもらった。狂気を感じさせる役柄は、彼しかいないと考えていたが、その期待に応えてくれた。
モスクワ映画祭で監督賞をいただいたのはとても幸運だった。次の作品はまだ決まっていないが、自分に嘘をつかない正直な気持ちで今後も作る。日本の映画ファンとも交流を深めたいと願っている。