『第8回アジア漫画展 生きがい~The Meaning of Life~』が東京赤坂の国際交流基金フォーラムで23日から11月11日まで開催される。今年のテーマは「生きがい」。アジア11カ国13人の漫画家の個性豊かな新作88点が紹介される。韓国からは環境漫画家として有名な申ヨンシクさんが参加している。
国際交流基金アジアセンターは、漫画という親しみやすい表現を通してアジアの社会・文化や人々の暮らしなどを多面的に紹介することを目的として、1995年以降、毎年「アジアの女性」、「アジアの人口問題」、「アジアの就職事情」といったテーマの下、『アジア漫画展』(1コマ漫画展)を開催してきた。
アジア11カ国(中国、インド、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)から第一線で活躍する13人の漫画家が参加するして行われる今回は、「生きがい」がテーマ。
アジアの人々は、国際テロ、イラク戦争、新型肺炎SAARSの脅威などからくる不安定化する社会の中、心に不安を感じながらも平和な社会の建設を目指して、日々たくましく生きている。
こうした状況の中、アジアの人々が日々の暮らしの中に感じている「生きがい」を描いた作品を通して、アジア各国に生きる人々の心を理解することで、相互理解を進めようというのがこの展覧会の企画趣旨だ。
今回作品を出品している漫画家の中には、マレーシアで漫画家、画家、小説家として活躍し、現在アセアン漫画家協会会長を務めるザイナル・ブアン・フセイン氏や、有力ベトナム日刊紙『トォイ・チェー』を中心に活躍するベトナム期待の漫画家ダッド氏、第22回読売国債漫画大賞優秀賞(2001)を受賞している日本の数少ない女性風刺漫画家の今長谷はるみ氏、似顔絵を使った風刺漫画、エスプリの効いた漫画を得意とする所ゆきよし氏などがいる。
韓国を代表して出品している申ヨンシク氏は1941年忠清南道生まれで、71年に少年韓国日報新人懸賞募集に当選。80年から98年まで『少年東亜日報』に4コマ漫画『トルベ君』を連載するほか、『スポーツ東亜』、『宝島』、『新少年』、『スポーツ朝鮮』などに劇画を連載している。
特に、80年代中ごろから直接環境運動に関わり、公害問題の深刻さを漫画で知らせた環境漫画家として有名だ。水銀中毒で死亡したムン・ソンミョン君と韓国で最初の公害病患者に認定されたパク・キルレ氏の裁判と闘いにも加わり、黒いタンポポ、パク・キルレさんを救う会を組織、会長も引き受けた。89年には、自身の経験に基づいた現場ルポ形式の漫画『たったひとつの地球』(全3巻)を発表して、公害問題の深刻さを大衆に知らせる先頭に立った。
96年には、以前の告発色の濃い形式の作品とは異なる、自然の美しい背景とその中に生きる人々の素朴な物語を中心にした童話のような漫画『ムツゴロウ』シリーズを発表して、再び大衆の関心を呼び起こしている。
主催する国際交流基金アジアセンターは、「ユーモラスで風刺の効いた88点の作品を通して、アジアを共に生きる人々、社会、文化、暮らしなどについて更に深い理解と新たな関心をもっていただければ幸い」と語る。
日本に引き続き中国、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、フィリピン、タイにおける巡回展が予定されている。
◆ 第8回アジア漫画展「生きがい」 ◆
日程:10月23日~11月11日
会場:国際交流基金フォーラム
入場無料
℡03・5562・3892