「アジアオーケストラウィーク2003」が来月開催される。2年目を迎える今年は、「音楽も今アジアから~オーケストラから見えるアジアの”今”と”未来”」をテーマに、韓国、トルコ、モンゴル、ニュージーランド、シンガポール、中国の6楽団を迎えて東京と大阪で行われる。日本オーケストラ連盟常務理事・事務局長の岡山尚幹さんに、開催意義について寄稿してもらった。
ここ数年のこと、海外へ出かけてオーケストラのコンサートプログラムを見ると中国や韓国の演奏家の名前を目にすることが多くなった。一時期の日本人のようで、韓国パワーはクラシック音楽界にも確かにしっかり根をはりつつあるようだ。
今年、韓国からはスウォンフィルハーモニック管弦楽団が来日する。韓国のオーケストラ事情を見ると、度々来日しているKBS交響楽団やプサンフィルを始めとして国内には26のプロオーケストラがある。ソウル市内には国立、放送局またはアートセンターに所属するものなど7楽団があるが、それ以外の多くはスウォンフィルのように地方自治体(市)が運営するものがほとんどだ。
90年代以降、韓国は目覚しい経済の発展とともに文化施策にも力をそそぎ、その結果地方自治体でも本拠地となるホールの建設を進め、専属のオーケストラを持つようになった。今や全国レベルでオーケストラ活動が盛んになってきているといえる。
韓国の演奏家といえば、一流のソリストの存在、たとえば世界的ヴァイオリニスト、鄭京和のように、十分に知られていた。しかしアンサンブルの質の高さはここ数年で知ることになった。
97年の冬、日本が中心となってアジアの一線で活躍する演奏家を招きアジアフィルハーモニックという特別オーケストラを編成した際に、最も多かったのは韓国だった。その時に彼ら1人ひとりの技術が優れていること、そして演奏家としての矜持の高さを強く感じた。
スウォンフィルハーモニックの公演(10月9日、大阪)では、ソン・ヨルムさんという17歳のピアニストが登場する。昨年の春、私は韓国オーケストラフェスティバルに行き、そこで今回来日するパク・ウンソン指揮スウォンフィル、そしてヨルムさんのラフマニノフのピアノ協奏曲を聞いた。
最後の音が消えるか消えないかの瞬間、聴衆は総立ち。歓声を挙げながら続く拍手を共にしながら、彼女の感性赴くまま奔放でありそれでいて聴き手の心を掴んで放さない、いわば今日的な演奏に驚き、今回の出演を決めたことを思いだす。
現代の聴衆に共感を呼ぶような若い演奏家が育ってきているのは同じアジア人として強い誇りを感じる。
◆ アジアオーケストラウィーク ◆
東京公演 : 10月2日・3日
東京オペラシティ
T E L : 東京03・5610・7275日本オーケストラ連盟
大阪公演 : 10月6日~10日
ザ・シンフォニーホール
T E L : 大阪 ℡06・6341・8116クラシックハウス。