◆ 映 画
『キツネ階段』は、ホラー映画「女高怪談」シリーズの第3弾。最近のホラー映画ブームもあって封切り第1週でトップになった。現在、学校が抱えている様々な問題(受験など)も絡ませたメッセージ色の強い前作品に比べ、願いを適えてくれるという“キツネ階段”に女子高生らが導かれていく過程が弱いのが残念。
4位は7月初めの封切り以来、観客動員数200万人を突破した。原作は日本の鎌田敏夫の「29歳のクリスマス」(フジテレビ系でドラマ化)。30を目前に仕事は左遷、結婚を夢見ていた相手からも振られた女性の自分探し的ストーリー。独身女性が経験する題材を、2者択一を強要する方式ではなく、軽いメッセージ調で展開していく。
6位は2枚目俳優チョン・ウソンの慶尚道訛りが評判となった。「チング」「チャンピオン」のクァク・ギョンテク監督の作品で、今回も男性主人公の成長の物語となっている。父親役のキム・カプスの好演が光る。
◆ 書 籍
夏休みを迎え、小説と経済関連の実用書がベストテンを占めた。2位はMBCの「本を読みましょう」からの推薦図書。75年に登壇した中堅作家ヒョン・ギヨンの長編小説。父の葬儀を終えた主人公「私」が父と母と暮らした思い出の地・済州島での生活を回想して物語は始まる。
光復節を迎えた済州島。解放の喜びもつかの間、深刻な食料不足は相変らずで、やがて島は4・3事件に飲まれていく。幼い「私」はそれが何を意味するかは知る由もないが、大人たちの憂いや悲しみを見て育つ。自然と人間、神話と歴史、生と死とともに描かれる少年の成長記。
6位は郷土に根づく物語を純粋な韓国語を通じて描く児童文学書。母を幼い時に亡くし、父とも離れて、現在はムーダン(巫女)の祖母の元で暮らすソンファが、その土地にまつわる悲しい言い伝えや、心暖まるエピソードを知ることで、両親を思う気持ちを育て、ムーダンという職を持つ祖母への拒否感を払い落としていく過程を描く。
◆ 音 楽
1位はムン・ヒジュン。ソロ3作目となるアルバム「LEGEND」のタイトル曲がチャートトップにのぼりつめた。ステージを牢獄に仕立ててのパフォーマンスなど演出力もある。
2位は韓国初の男性R&Bデュオとして99年にデビューしたFly to the Sky。毎年この時期に出すアルバムは安定した人気を得ている。二人とも歌唱力に定評があり、ラップもこなす器用さで作品にも奥行きがある。
ユン・ドヒョンバンドは94年にデビュー以来、ステージパフォーマンスを中心に韓国ロック界での地位を築いたが、メジャーとなったのはやはり昨年のサッカーW杯。「oh~必勝コリア」で一躍時の人となった。
それ以降、リーダーでボーカルのユン・ドヒョンはビール、携帯電話のCMなどでも馴染みの人となる。新作「YB STREAM」もユンの太い歌声が効いた骨のあるアルバムに仕上がっている。