「文化庁舞台芸術国際フェスティバル」が9月5日から11月12日まで、東京と関西で開催される。同フェスティバルのイベントとして鄭明勲氏と藤原歌劇団によるオペラ「カルメン」が上演される。ほかにも韓国からオーケストラ、バレエ団などが来日、韓日文化交流を促進する。
文化庁舞台芸術国際フェスティバルは日本のトップレベルの芸術家、芸術団体と海外の芸術家・芸術団体が競演する国際的イベント。日本の世界水準の舞台芸術を海外に発信し、文化芸術面での国際交流の推進を図るために始められた企画で、今年が3回目となる。
今年度は「アジアからの文化交流」をテーマとして、12の主催公演を予定しており、海外と日本との芸術家の共同制作を重視した公演や美術館、博物館、寺院などで行う実験的な公演も企画されている。
同フェスティバルの目玉が、韓国が生んだ世界的指揮者、鄭明勲氏が藤原歌劇団と組んで行うコンサートとオペラである。9月12日のオープニング・コンサートでは、世界的に活躍する日本トップのオペラ歌手、メゾ・ソプラノの藤村美穂子、テノールの市原多朗など5人を交えて、鄭氏が昨年ドレスデンで大成功を収めたオペラ「ドン・カルロ」からのハイライトを披露する。
そして9月18日から20日の3日間にかけては、藤原歌劇団創立70周年記念-藤原歌劇団・オランジュ音楽祭共同制作オペラ公演「カルメン」が、鄭明勲指揮のもと、欧米の一流歌手に加え、韓国国立オペラ団のチョン・イグン、カン・ヘミョン、日本の藤村実穂子、妻屋秀和など韓日のオペラ歌手が参加して行われる。
藤原歌劇団は1934年に設立、日本のオペラ界を常にリードする活動を行ってきた。早くからオペラのグローバル化に注目してきた藤原歌劇団は、これまで歌手やスタッフなどの人材起用を含め、欧米の歌劇場との交流を深めることで、公演の水準を高めてきた。
近年はアジアの近隣国との交流にも力を入れ、2002年7月には韓日国民交流年を記念して韓国オペラ団の協力を得て、韓日芸術交流推進オペラ「蝶々夫人」公演を行い、日本における2002年オペラ公演ベスト10の上位に選出されるなど大好評を博した。
さらに昨年3月には日本のオペラ・カンパニー初の公演となる韓国公演「椿姫」を実現し、日本の広上淳一氏が韓国のオーケストラを指揮する構成で、日本オペラ界の水準の高さを見せ、韓国の音楽ファンを魅了している。
今回のカルメンは、鄭氏が音楽監督を務めるフランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団の演奏という、韓日仏3カ国の共同制作オペラになる。東京公演に先駆け、9月7日~9日にはソウル公演が行われる。オペラを通じて韓日文化交流をより促進させ、来年の韓日友情年「ジャパン・コリア・フェスタ2005」に向けて雰囲気を盛り上げるイベントとして、大きな注目を集めそうだ。
同フェスティバルでは他にも、9月5日にプレイベントとして韓中日の留学生たちが民族音楽などを演奏する「未来の新星たち~留学生ガラ・コンサート」、関西公演では10月14、15の両日、神戸で韓日のダンサーによる合同バレエ公演「眠れる森の美女」が行われる。
そして10月28、29の両日は京都で、在日3世の金聖響指揮、韓日合同フェスティバルオーケストラによる「アジアのスーパー・ガラ・コンサート2004~かよいあう心」が開かれる。
同コンサートには韓国のジュン・セフン、日本のジョン健ヌッツオなどのソリストが出演し、京都の雅なイメージを意識しつつ、「未来へ向けた平和」へのメッセージを伝える催しとなる。
さらに東京・関西にまたがる公演として「アジアオーケストラウィーク2004」などが予定されている。
問い合わせは、℡03・3560・1376(同フェスティバル実行委員会事務局)まで。