韓国の新作映画4本を一挙上映する「シネマコリア2004」がこのほど、東京、大阪など全国4都市で開かれ好評を博した。新人監督3人に、話を聞いた。
公開されたのは『オー!ブラザース』(キム・ヨンファ監督)(写真)、『先生、キム・ボンドゥ』(チャン・ギュソン監督)、『品行ゼロ』(チョ・グンシク監督)、『春の日のクマは好きですか?』(ヨン・イ監督)の4本。チャン監督を除く3人が映画初監督となる。『オー!ブラザース』は、チンピラの兄と難病の弟との兄弟愛を描くヒューマンコメディー。『品行ゼロ』は、80年代の高校生たちを描いた青春グラフィティ。『春の日のクマは好きですか』は、人気女優ペ・ドゥナ主演のロマンチック・コメディ。
◆ 深刻な素材面白く-キム・ヨンファ監督 ◆
家族愛、兄弟愛の映画をつくりたいとずっと考えていた。
兄はトラウマを抱え、弟は難病を抱えている。2人に何か不一致を与えたくて考えた。最後に2人が不一致から一致になるのを表現したかったからだ。アンバランスなまったく受け入れない2人だが、最後には2人が似てきたなと思ってくれるとうれしい。
映画で兄は父に対する昔からのトラウマのような辛い感情があったが、弟の解釈を受け入れて初めて涙する。私も父に対するトラウマがあり、それを描いた。映画が出来てから異母兄弟も観てくれて、泣いたと言ってくれた。日本のファンにも家族愛、兄弟愛について感じてくれたらと願っている。
シリアスで難しい素材を、面白くユーモアを持ってみんなに見てもらえる映画にするのは大変だが、これからもそういう映画を作っていきたい。
◆ 80年代の青春表現-チョ・グンシク監督 ◆
ソウル芸術大学を出て映画アカデミーに行き、チャン・ソヌ監督の助監督をした。監督からは自分の精神世界をどう表現するか、世の中に対する悩みをどう表現するかということを学んだ。
今回の作品は英雄と純粋さ、現実とファンタジー、子供の世界と大人の世界、明るさと暗さなどコントラストが反映できるように作った。
80年代というのは韓国の成長期であり、複雑な時代だった。軍事政権による抑圧の時代であり、ティーンの文化ができた時代でもある。自分が体験した80年代を表現している。
日本の小津安二郎はとても好きな監督だ。私は以前スタイルやテクニックにこだわっていたが、小津監督はそうではなく、家族とか小さな題材で完璧な世界を作る。映画はやればやるほど難しいが、小津監督を手本に頑張っている。小津作品に出てくる原節子さんは理想の女性だ。
◆ 言葉なしで伝わる愛-ヨン・イ監督 ◆
韓国でクマはダサイ、のろまというイメージがある。ダサい子が変わっていく姿を描きたかった。撮影前にペドゥナと相談し、日本のアニメやフランス映画『アメリ』など、好きなキャラクターを合わせた。
相手役を聴覚障害者にしたのは、言葉でなくても愛は伝わるということを伝えたかったからだ。韓国では言葉ではっきりと「好きだ」という男性を好むところがあるが、そうではないのではということを表現したかった。
美大の映像デザイン科を卒業して、ミュージックビデオやCMを作っていた。日本のアニメが好きで、手塚治虫から最近の漫画まで欠かさず読んでいる。日本映画は歴史もあるし数多くの偉大な監督が出ている。いまは韓国が元気だが、底力は日本が強いかもしれない。これからも期待している。