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2004/04/30

<韓国文化>◆ 話題の本 ◆

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◆ 『実録朝鮮戦争』 崔極 著 ◆ 

 1950年6月25日、北朝鮮の人民軍が突如として北緯38度線を越え、韓国を奇襲した。こうして同じ民族が血で血を洗う韓国戦争(朝鮮戦争)が勃発、韓国を支援する国連軍と北朝鮮側についた中国の参戦によって戦闘は泥沼化し、戦火は3年におよんだ。

 本書は、高校3年生だった著者が、韓国戦争の勃発と同時に祖国の危機を救おうと学徒兵に志願し、迫撃砲小隊長として前線で戦った手記である。自らの体験を赤裸々につづったノンフィクションであるだけに、説得力があり、北朝鮮人民軍の動きや韓国軍の作戦、実際の戦闘の様子が手に取るようにわかる。

 これまでの戦記とひと味違うのは、戦争孤児の実態が描かれていることである。本書に登場する白聖鶴少年は、北から非難しようとして家族と離れ離れになり、著者の部隊の野営地・洪川で行き倒れになっていたところを兵隊に助けられる。米軍が捨てた残飯を漁って飢えをしのぐなどして白少年は戦火を潜り抜け、著者の部隊では兵卒に加わり、斥候として活躍するなど、この時代をしたたかに生き抜く。

 戦争勃発から36年後の86年、新聞に「砲火の中、ごみを探った12歳の韓国戦争孤児、帽子王になって恩人を探す」という記事が載った。白少年だった。事業に成功し、一緒に戦った洪川に福祉施設や病院を建てるまでになっていたのである。著者と白少年の劇的な再会は、まさに「事実は小説より奇なり」である。

 本書が感動を呼ぶのは、単なる戦記に終わらず、仲間たちとの友情や人間の愛を描いているからであろう。(光人社、四六判、320㌻、2000円+税)

  チェ・グッ 1932年、忠清北道生まれ。大田中学6年時に学徒義勇軍を組織し韓国戦争に参戦。東国大学英文科卒。韓国外交国防研究所理事。


◆ 『鉄馬は走りたい』 小牟田哲彦 著 ◆

 タイトルの「鉄馬は走りたい」は、38度線近い京義線の汶山駅北方の線路の中断点の看板に書かれたハングル文字「チョルマヌン タルゴシッタ」の意味である。北朝鮮側には行けない現実をなんとか打ち破りたい、という思いが込められている。

 本書は、南北分断により途絶している京義線(ソウル-新義州)、京元線(ソウル-元山)、金剛山電気鉄道(鉄原-内金剛)、東海北部線(襄陽-安辺)の4つの鉄道の現状を探ると共に日本統治時代に38度線をまたいで走っていた姿を蘇らせた異色の鉄道紀行である。

 1975年生まれの20代の著者が5年間かけて北朝鮮、韓国で実際にその鉄道に乗って体験。車中に泥棒が多いとか、車窓の風景とかがリアルに描かれており、臨場感あふれたルポでもある。口絵のカラー写真の他、随所に鉄道地図や乗車券、時刻表が掲載されており、とても丁寧なつくりになっている。鉄道遺跡を探訪するため、古地図を利用する徹底ぶりだ。

 これらの南北線の復旧の動きがある。2000年に京義線を連結することで合意、昨年に半世紀ぶりに臨津江を越え、民間人規制区域の民統線内に都羅山駅まで延伸した。著者はこの都羅山駅まで乗り、北朝鮮側の開城までは17・8キロ、時間にしてたった15分。著者はこの都羅山駅で、近い将来必ずや実現するであろう南北線の開通を待ちのぞんだ。

 著者の祖父が戦前、中国に渡った時の旅程に興味を抱いたのが南北分断鉄道を巡る旅の始まりだった。いま東京-ソウル-平壌を通るアジアハイウェー構想も具体化しており、知られざる南北鉄道を知るうえで貴重な一冊だ。(草思社、四六判、230㌻、1800円+税、)

 こむた・てつひこ 1975年生まれ。早稲田大学卒業。教育関連に勤務。普通列車だけでJR2万キロを完全乗車。


◆ 『「冬のソナタ」からの贈り物』 康熙奉 著 ◆

 珠玉の恋愛物語「冬のソナタ」はこうして誕生した。日本で人気大爆発となった韓国テレビドラマ「冬のソナタ」。同ドラマの監督、出演者へのインタビューを通して、製作秘話に迫ったのが本書。

 ユジン役チェ・ジウが子どもの頃、なりたいと思っていたものはなんと軍人。それは実の父親が軍人で、とてもかっこよかったからとのこと。 

 ペ・ヨンジュン演じるチュンサンは、実は死ぬはずだった。ファンからの助命嘆願が殺到して生かすことにした。

 地方ロケを行うことが少ない韓国ドラマ界にあって、あの美しい景色はまさに監督のこだわりの現れだった。

 また、ペ・ヨンジュンにとっては、映画界への転身を考え始めた矢先の出演以来だった。そんな彼が出演を決めた理由は何か?

 それまでの内向的な役柄を脱皮し、難しい演技が求められるユジン役への転身をはかったチェ・ジウの心境とは? サンヒョク役のパク・ヨンハは役になりきるために8キロも体重を落としたのは本当か。

 主題歌に新人歌手のRYUを抜擢した理由は? そして高校時代のチュンサンがピアノを弾くシーンで、その代役を務めた音大生が作曲した曲をそのままドラマで流した? などなどドラマの裏側を徹底取材。ユン・ソクホ監督への単独取材も必読だ。著者は在日2世のフリーライター。(TOKIMEKIパブリッシング、四六判、206㌻、1500円+税)


◆ 『韓国トップスター2004』 ニューズ出版編集部編 ◆      

 ペ・ヨンジュンの来日速報がトップを飾っている。多数のファンが詰めかけて大混乱となった羽田空港での出迎え、ファン交流会、記者会見の模様など、ヨン様の来日を完全キャッチ。

 そして、地上波放映記念「冬ソナ」特集では、複雑なストーリー展開の全20話を分かりやすく紹介している。

 さらに、公開が迫ったヨン様主演映画「スキャンダル」。今回の映画では、今までの誠実なイメージを180度変えるプレイボーイ役に挑戦している。李朝期の時代劇で、彼の定番であった眼鏡を取り、カツラを着けた演技が大きな見所の一つだ。

 そしてソウルロケ地MAPでは、韓国通のアナウンサー田代親代が案内役を務める。

 冬ソナのユジンが住んでいたアパート、ミニョンとキム次長がよく飲みに行ったバーなど、ソウル市内のドラマロケ地を地図付で分かりやすく紹介している。春川の高校は、実はソウルにあった!?など掘り出し情報も満載。

 韓国イケメンスターファイルでは、これから日本で人気が出るであろう韓国男優を特集している。既に「美しき日々」でも知られているリュ・シウォンやクォン・サンウなど今をときめくモッチン(かっこいい)俳優が紹介されている。

 ウォン・ビンのインタビュー、チャン・ドンゴンの来日会見も見逃せない。(ニューズ出版、A4変形判、145㌻、950円+税)
 

◆ 『チソン、愛してるよ。』 イ・チソン 著、金重明 訳

 2000年7月30日、ソウル漢江路で事故を起こした4輪駆動車が逃げようとして前の乗用車に衝突する玉突き事故を起こした。運悪く前を走っていた軽乗用車が巻き添えを食い、反対車線に跳ね飛ばされ、クルマは横転、漏れたガソリンに引火し、助手席に乗っていた22歳の女子大生は全身火だるまとなり、全身55%のやけどを負った。イ・チソンさんである。

 本書は、奇跡的に死の淵から蘇り、7カ月の入院生活と11回もの過酷な手術に耐え、第2の人生を力強く生きる彼女の手記である。韓国で30万部を売るベストセラーとなり、マスコミに取り上げられるなど、一躍時の人となった。

 梨花女子大学幼児教育科で学び、将来の夢と希望に胸を膨らませていた乙女から、事故は一瞬にしてすべてを奪い去った。想像を絶する皮膚の移植手術、壊死した指の切断。そして何よりもやけどで変形し別人の顔になってしまった自分の顔を見なければならないショックは、筆舌に尽くしがたい。

 彼女は、治療の苦しさを「毎朝、と畜場に引き出される牛や豚の気持ち」と記している。

 彼女は熱心なクリスチャンで、信仰の力によって地獄の日々を耐え抜き、生きる希望を見い出していく。手術を受けるために1年間日本に滞在するが、日本語学校に通いながら前向きに生きる彼女の姿は感動を呼ぶ。

 絶望は死に至る病である。こう語ったのは哲学者のキルケゴールだが、この手記は絶望は希望への扉であることを身をもって教えてくれる。(アスペクト、四六判、240㌻、1300円+税)


◆ 『となりのコリアン』 在日コリアン研究会編 ◆

 日本人の中には、在日コリアンの存在を知らない人が少なくない。そこに問題意識を抱いた人々が「在日コリアン研究会」に集まり、様々な議論が行われた。本書はそれをまとめたものである。

 日本で生まれ、日本で育ち、これからの一生を日本で生活していく在日コリアンといわれる人々。北朝鮮の拉致事件の後、朝鮮学校生に対する嫌がらせが急増したという。

 それを防ぐべく「在日コリアンの子供たちに対する嫌がらせを許さない若手弁護士の会」が結成された。

 彼らは、関東地方にあるすべての朝鮮学校に通う初級から高級までの3920人の子どもを対象に、2002年の1月から3月までアンケート調査を実施した。

 アンケートには、「嫌がらせをする人は、なぜ在日コリアンが日本にいるのか知っているのか」「日本人と仲良くしたいのに」という共生社会を願う在日の子どもたちの真剣な声が寄せられた。

 さらに、戦後大阪の在日コリアンが主人公の映画「夜を賭けて」の裏方を担当した在日コリアン3人の座談会では、これからの在日の生き方、日本人とともに生きていくためにどうするかなどが語られている。

 在日コリアンの歴史、差別、参政権問題なども解説している。
 
 差別や偏見があったとき、「やり過ごさない」ための勇気を日本社会は持とうと、同会は最後に訴える。「共生」とは何か考えさせられる一冊だ。(日本評論社、四六判、217㌻、1700円+税)


◆ 『イージーハングル2』 ユンソナ 著 ◆

 2年前に発売されたイージーハングルの続編となる本書は、日本で活躍中の韓国人タレント・ユンソナが講師を務める。第1弾に比べて、よりアカデミックなハングルの特徴を取り上げている。

 基礎編では、ハングルを読めるようになろう!というかけ声のもと、タバン(喫茶店)、ポス(バス)、コピ(コーヒー)など簡単な単語でハングルの成り立ちを紹介している。

 応用編では、会話集がシチュエーション別に盛り込まれている。タクシーに乗る時、東大門で福や眼鏡を買う時、南大門で雑貨や革製品を買う時などと、時と場合によって使い分けられるようになっているので便利だ。

 また、困った時のピンチ脱出法、帰国後に礼状を書くときの韓国語なども掲載。

 カラーの絵入りで最近韓国語を習い始めた若い女性にも親しみやすい構成となっている。これ一冊で旅行会話はもちろんのこと、日常生活に困らない程度の韓国語が学べるだろう。
 
 カラオケよりもパーティールーム、地下鉄の乗り方、デパ地下の楽しみ方などの「ソナコラム」もおもしろい。

 ユンソナが応用編の本文を読んだCDが付録としてついているので、独習にも最適だ。(学研、B5判、81㌻、1200円+税)


◆ 『一番楽しい!ソウル&韓国語』 学研編集部編 ◆

 巻頭インタビューは阿部美穂子さん。ハングル講座の取材を通して知り合ったサッカー韓国代表選手のチェ・ソンヨンさんと昨年末に結婚し、現在は韓国在住。彼女が、韓国の魅力と韓国語の楽しさを語る。

 旅行で使う韓国語会話を中心に、旅の予備知識、韓国の祝祭日などの基本情報も網羅。「機内、空港で使う韓国語」「ホテルで使う韓国語」「街を歩くときに使う韓国語」など基本的な旅行会話の他、「エステ、ビューティーサロン、マッサージ店で使う韓国語」などバリエーション豊かなトピックで構成。

 また、「ソウルを食べ尽くす」として、①焼き肉・ご飯・麺②鍋・家庭料理③宮廷料理・韓定食を写真入りで詳しく紹介。写真を見ているだけでよだれが出てくるようだ。食の天国・韓国を実感すること間違いなし。

 「ソウルで観る!遊ぶ」では、韓国エンタテインメント情報満載。大流行の韓国ドラマ、映画の魅力を余すところなく伝えている。CD付録つき。(学研、B5判、97㌻、1200円+税)