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2005/03/11

<韓国文化>市民参加で韓日合同オペラ

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    チョン・ミョンフン 1953年ソウル生まれ。幼少期よりピアニストとして天才的才能を発揮し74年チャイコフスキー国際コンクール第2位。その後指揮者としての活動を始め、現在、フランス国立放送フィルハーモニー管弦楽団音楽監督、東京フィルハーモニー交響楽団のスペシャルアーティスティック・アドヴァイザー。   

 韓日合同によるオペラ「カルメン」(富山市民文化事業団など主催)が20日、富山市のオーバードホールで上演される。韓日のオペラ歌手に加え、富山市民が合唱団として参加し、韓国出身の世界的指揮者チョン・ミョンフンさんがタクトを振る、韓日友情年にふさわしいイベントだ。

 1875年に初演された「カルメン」は、天才作曲家ビゼーの最高傑作といわれる。19世紀初頭のスペイン・セヴィリヤを舞台に、自由奔放な女性カルメン、彼女に翻弄される伍長ドン・ホセ、ドン・ホセの婚約者ミカエラ、そして人気闘牛士エスカミーリョをめぐる三角関係を描いた悲劇で、そのドラマティックな内容と刺激的な音楽で、古今のオペラの中でも最も人気が高い作品だ。

 韓国出身で世界有数の指揮者チョン・ミョンフンさんは、日本の藤原歌劇団などとともに制作したオペラ「カルメン」を昨年、フランスのオランジュ音楽祭、ソウル、東京で昨年上演し、大喝采を受けた。その「カルメン」が、今回富山で上演される。企画したのは富山市民文化事業団である。同事業団はこれまで「お小夜」「アイーダ」などの自主制作オペラを上演してきた実績があり、今回は韓日文化交流促進の願いを込めて、チョン・ミョンフンさんに指揮を依頼、快諾を得たものである。

 キャストを見ると、カルメンにはハンガリーの新星キンガ・トバイ、ホセ役には東京公演で注目された韓国のチョン・イグン、ミカエラには期待の新人、日本の松田奈緒実と期待の若手が配置された。韓国は他にエスカミーリョにチェ・ウンジュ、フラスキータにカン・ヘミョンが出演する。チョン・イグンさんはソウル国立大学音楽部卒業後、ミラノのヴェルディ音楽院修了。ジュネーブ、モンテカルロの各国際コンクール優勝をはじめ、数多くの国際コンクールに入賞している。スイスのルツェルン紙で「2002年の新星」に選出された新鋭テノールである。

 この主要メンバーに加え、半年以上練習を積み重ねた富山県内の声楽家、児童、舞踊家、エキストラがキャストとして出演する。富山在住または出身の若手声楽家40人、児童合唱が富山市内にある福野町立福野小学校合唱クラブ24人、舞踊が富山・松岡秀子ジャズバレエ研究所所属ダンサーから12人(男性5人、女性6人、児童1人)、それに富山・大川都フラメンコスタジオ所属の女性ダンサー10人とオーディションで選抜された男性15人など約100人。児童から60代まで幅広い年齢層だ。

 これに藤原歌劇団合唱部28人と桐朋学園音楽部門特別オーケストラ(桐朋学園大学生、桐朋オーケストラ、韓国からの留学生などで構成)84人が加わる一大プロジェクトである。
 チョンさんは、「韓日をはじめ様々な国の人が、それぞれの良さを出し合いながら一つのものを作り出すのはとても意義あること。音楽を通じて交流を深めたい」と話す。

◇ チーフプロデューサーの中島晴美さん◇

 富山は韓国に近く、韓日交流にずっと力を入れてきた。直行便も出ており、県民の韓国への感心も高い。今公演も高い関心を呼んでいる。
 
 公演を行うオーバードホールも、開設時にやはりオペラ『カルメン』を上演するなど、オペラ上演に最適の多目的ホール。セットや衣装も東京公演で使った物をそのまま移動するので楽しみにしてほしい。音楽を志す人にとってチョン・ミョンフンさんは世界有数のあこがれの指揮者。そのチョンさんの指揮で舞台に立つことが出来るのは、とても貴重な経験になると思う。観客にとっても得難い舞台になると思う。