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2005/02/25

<韓国文化>韓日音楽事情

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    かわかみ・ひでお  音楽ジャーナリスト。1952年、茨城県土浦市生まれ。日本大学芸術学部美術デザイン科卒業。79年より評論、コーディネート活動を展開。著書に「激動するアジア音楽市場」(シネマハウス)など。

 ドラマ「冬のソナタ」のブレイクで、今や日本社会に完全に定着したかに見える韓国エンターテインメントの世界。折しも、今年は『日韓条約40周年』そして『日韓友情年』という両国民にとっていわば節目の年でもあり、その動向に興味は尽きない。

 ともすれば若手人気アーティストの紹介に偏りがちな最近の日本メディアだが、韓国ではベテラン勢から中堅実力派まで活発な動きを見せている。世代を超えて人気のエンターテイナーたちの最新トピックを紹介したい。

 パティ・キムと並び韓国歌謡界のトップに君臨する艶歌の女王、李美子が、北朝鮮の平壌で公演した実況版DVD(発売/三漢メディア)がこのところ人気を呼び、歌謡DVDとしては破格のセールスを更新している。

 昨年、芸能生活45周年を迎えた彼女は、「エレジーの女王」と呼ばれ、その円熟した歌声はいまだ健在で、ドレミレコードより2枚組の記念CDを発売したのも記憶に新しい。北朝鮮に融和的な社会情勢の中、MBC(韓国文化放送)の企画による2002年平壌公演からのダイジェスト版ながら、北への国民的関心も、前述のDVD売り上げに一役買っているのでは――と版元の金チョルファン代表は語る。

 日本の「韓流ブーム」はマスコミを中心に大きな話題を呼んでいるが、キム・ゴンモに次ぐ久々の大型歌手としてダントツの人気を誇る男性アイドル、ピが日本デビューを果たした。

 98年に、6人組のグループfanclubのメンバーとしてデビューした彼は、2002年にヒット・メーカー、J.Y.パクのプロデュースによるアルバムでソロに転向、メキメキと頭角を現し、現在人気NO.1のR&Bシンガーと評価されている。

 今年1月には世界的ファッションデザイナー、ジョルジョ・アルマーニのファッションショーに招待され、イタリア・ミラノを訪問した。

 アルマーニは、アジアの新進スターとして注目度の高いピに着目、アジア地域での更なる知名度アップを図ったものと推測される。日本では2005年元旦に放送されたNHK『日韓友情音楽祭』への出演や主演ドラマの放映もあり、今後の動きが大いに注目される。

 日本国内の動きを見てみると、「冬ソナ」シンドロームが韓流ブームの牽引役として独走 しており、する日本では、Kポップブームといえども、そのファン層は思ったほど広がってはいない。そんな状況下、大いに気を吐いている2組のアーチストにスポットを当ててみよう。

 現在放映中のドラマ『美しき日々』の主題歌『~あなたの後ろで』を日本語でカバーした日本人女性シンガー、SARA(サラ)が、有線のCANシステムJポップチャートで18位に躍り出た。発売元のテイチクエンタテインメントも強力にプッシュ中で、同社のムード歌謡畑で主力歌手のチェ・ウニともども、息の長いプロモーションを展開していく予定だ。

 更に「『冬ソナ』から最後のプレゼント」と銘打って念願のデビューを果たしたのが、世代を超えて絶大な人気を誇る国民的歌手、ユ・ヨル。

 「冬ソナ」ではサンヒョク(パク・ヨンハ)がプロデューサーを務めるラジオ番組のDJ役として出演し、名曲『すみれ』を熱唱している。

 コロムビアミュージックエンタテインメント発売による『ユ・ヨル/ベストセレクション』は詩情溢れる珠玉のバラードコレクションで、男らしさの中にも透明感際だつ好唱の連続で、お勧めの1枚だ。

 日韓友情年の幕は開いたばかりだが、広範なエンターテインメント交流の具現化を祈りたい。