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2006/11/24

<韓国文化>高根恵子のおすすめ韓国料理・身も心も温まる鍋

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     「スンドゥブチゲ」

 鍋のおいしい季節がやってきた。料理研究家の高根恵子さんに、お薦めの韓国鍋を紹介してもらった。

 初めて韓国を訪れてから12年が過ぎた。空港や街並が大きく変わったが、必ず美味しい味出会えるのは幸せだ。

 スンドゥブチゲ(韓国風豆腐鍋)を初めて食べた時もトゥッペギ(鍋)の焼き締められた黒色、スープの唐辛子の赤色、スンドゥブの白色と長ネギの緑色のコントラストにまず目を奪われた。テーブルに乗っているのにグツグツと沸き続ける音が耳とお腹へ響いてくる。目の前の友人の食べ方を真似て、スッカラッ(スプーン)でご飯をひとすくい。

 次にそのままスンドゥブチゲもひとすくいして口の中へ。ご飯のお陰なのか熱々のチゲなのに口の中をヤケドすることなく味わえる。見た目程辛くない事とすくう度に、あさりや煮干しなどのうまみとスンドゥブのまろやかさに友人と話す間もなく食べ続けた。

 近年では日本にも専門店ができるほどなじみやすく食べやすい韓国料理の一つである。

 日本でも韓国でも現在の健康食ブームより遥か昔から豆腐は親しまれた食品である。韓国では高麗時代末期の文献「牧隠集」より豆腐は登場する。

 韓国にも日本にも豆腐の製法は中国から伝わったとされるが、日本の一部地域には韓国経由で伝わったようである。高知図書館にある文献によると、徳川時代に四国土佐では韓国からの豆腐製造の技術者及びその子孫のみが豆腐作りをする町があり、高知の豆腐はその当時の技法が引き継がれ正方形でやや固めのものである。

 現在の日本で作られている豆腐は、スーパーでの品揃えを見てもわかるように水分量や製法の違いから固さの違う様々な豆腐がある。

 非常におおざっぱな表現で申しわけないが、韓国で一般的にトゥブ(豆腐)は日本の木綿豆腐とほぼ同じ製法で、豆乳にニガリを入れ固まり始めたら孔のある型箱へ移し重しをして余分な水分を取り除いたものである。日本の木綿豆腐に比べて、より水分が抜けた固めのものが多いように思う。

 そしてスンドゥブは日本のおぼろ豆腐、よせ豆腐や汲み豆腐と呼ばれている状態に似ている。木綿豆腐よりはやや濃い豆乳にニガリを加えて混ぜ、固まった所からすくい取って椀、桶やザルなどに入れたものである。

 いずれにしても豆腐は優れた植物性たんぱく質であり、大豆のままでは消化にくい物質が取り除かれているので栄養素が吸収されやすい状態になった食品である。さらには今回のスンドゥブチゲのように動物性たんぱく質を含む食材と共に食べると、植物性たんぱく質の不足するアミノ酸を補って、より体内へ吸収されやすい状態となる。

 また豆腐にはカルシウムも含まれており、このたんぱく質が共にある事で体内へのカルシウム吸収率が良くなる。

 寒さから身体の冷えにより様々な不調が起こりやすいこの季節。熱々のスンドゥブチゲの様に様々な食材を一緒に食べる事でより良く様々な栄養素を吸収し、身体を温め血行を良くして寒い時期の健康維持に役立てていただきたい。


  たかね・けいこ 料理研究家。韓国などさまざまな国の料理を研究し、実際に調理。著書に「食べて治そう!たのしくおいしい朝鮮料理」(わらび書房)


■ スンドゥブチゲ ■

◇材 料(2人分)◇

あさり(殻付き)    10個(100㌘)
豚薄切り肉       50㌘
煮干しだし汁      1カップ(200cc)
中挽き粉唐辛子(韓国産)大さじ1~
すりニンニク      小さじ1
塩           小さじ1/2
長ネギ         1/4本(25㌘)
絹ごし豆腐       1丁(300㌘)
ごま油、こしょう    少々

◇作 り 方◇

1:あさりは砂抜き後良く洗う。豚肉は食べやすく切る。長ネギは小口切り。

2:鍋にごま油をなじませ豚薄切り肉を炒める。あさりも加えて炒め、煮干しだしを注ぐ。

3:沸騰したら粉唐辛子、すりニンニク、塩を加える。絹ごし豆腐をスプーン等で大きくくずしながら入れる。

4:豆腐に火が通ったら長ネギを加えて火を止める。味をみて、好みでこしょうをふる。

★だしは、頭と内蔵を取った煮干しを水につけて30分ほどおき、中火でゆっくり加熱します。煮干しだしは顆粒のものでもよい。その時は塩分が含まれている事もあるので後から加える塩を加減する。

★粉唐辛子、すりニンニク、塩のかわりにキムチを加えて作ってもおいしい。絹ごし豆腐はおぼろ豆腐やよせ豆腐など柔らかく固まったものを使うとよりスンドゥブチゲらしくでき上がる。