韓国出身の世界的ソプラノ、スミ・ジョーが出演する「スミ・ジョー ソロリサイタル2007春」が、17日に東京、21日に大阪で開催される。スミ・ジョーに日本公演の抱負を聞いた。
――久しぶりの日本公演になると思うが、抱負を聞かせてほしい。
「魔笛」の“夜の女王”を演じるため、1989年11月に来日して以来、これまで何度も来日しているが、日本は私にとって思い出深い、大切な地だ。
その日本の素晴らしいホールでリサイタルができることは、私にとって非常にエキサイティングなこと。今回の公演ではコロラトゥーラとしての技巧が重視されるベネディクト、ヘンデル、ヴィヴァルディ、アダンといった曲目、オペラやアリアを聴かせるヴェルディ、ベリーニ、更にはアルディーティやシュトラウスといったプログラムを予定している。様々な歌の魅力をお聴かせできればと思っている。
――オペラにとどまらず活動の場を広げているが、近況は。
実現には至っていないが、オペラのライブ、世界の民謡、ロシア音楽を含む新しい試みを取り入れたアルバムを製作したいというアイデアを持っている。これまでにクラシックの声楽曲だけでなく映画音楽やミュージカル曲などのクロスオーバー楽曲のレコーディングも行ってきたし、アーティストとして、音楽に対する新しい冒険を今後も様々な方法でし続けようと思っている。
また昨年、デビュー20年という節目を迎えたのを機に、自分の時間とエネルギーを子供たちの文化的教育に捧げようと決意した。中学・高校の先生方と、どうすれば子供たちの音楽教育に私自身が効果的に関われるか、意見を聞く貴重な機会も得ることができた。
――トップ歌手を維持する秘訣、心がまえは。
精神的に、また肉体的にも健康であることを、常に心掛けて生活している。精神的に健康であれば、自然と力がみなぎり、幸せな気持ちで歌うことができる。肉体的にも、良いコンディションでなければ声を出すことはできない。そういった意味で、毎日運動を欠かさず行っている。また、オペラ歌手として、作品の持つ文化的・歴史的な背景を良く理解して取り組むという過程をとても大切にしている。
監督や指揮者、歌い手の他にも多くの人が団結して一つの作品を作り上げるオペラという分野では、そういう勉強は大変役立つ。勉強を常に行って、これからも歌に込められた意味、またそのオペラの素晴らしさを観客に伝えたいと思っている。
――韓日はこの数年で交流がとても盛んになりました。韓日関係について一言。
ここ数年の飛躍的な文化交流は、オペラ歌手として、また韓国国民として非常に嬉しく思っている。近年、日本でクラシック音楽がブームになっていると聞いているが、クラシック音楽で韓日交流を更に深めることができればこれほど嬉しいことはない。
もちろん交流には相互努力と協力が必要で、それは将来のための非常に重要なプロセスだと思う。私は韓国で一般の人々に、よりクラシック音楽を身近に感じてもらうべく質の高いクロスオーバー楽曲を提供してきた。そういった音楽の素晴らしさを伝える経験を生かし、クラシック音楽を架け橋に韓日交流に貢献できればと願っている。
――日本、そして在日韓国人のファンにメッセージを。
日本の観客は礼儀正しく、情熱的な方が多いように思う。声楽曲の多くは欧州の言語で歌われているので、日本人にとっても、韓国人にとっても、作者が歌の奥深くに込めた本当の意味を理解することは難しいと思う。
けれども、私はいつも日本の観客が歌を理解しようとするとても真摯な姿勢を持っていると感じている。
在日韓国人の観客の前で舞台に立てることも、私のモチベーションの一つになっている。今回の公演では最高のパフォーマンスと最高の状態を見せたいので、ぜひ楽しみにしてほしい。
スミ・ジョー ソウル大学音楽大学を経てサンタ・チェチーリア音楽院卒業。87年指揮者カラヤンのもと、ザルツブルグ音楽祭で「仮面舞踏会」のオスカー役を演じ、カラヤンから「神からの贈り物」と絶賛される。世界の歌劇場で活躍し、最近ではバスティーユ・オペラ(フランス)で「ホフマン物語」などに出演し、高い評価を得る。
◆スミ・ジョー ソロリサイタル◆
日時:17日午後6時=東京オペラシティ
21日午後2時=グランキューブ大阪
※東京公演は残席わずか
入場料:S席9,500円、A席7,500円。
℡0120・499・6990(サモンプロモーション)。