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2007/02/09

<韓国文化>相互理解と共生の視点で

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    国立新美術館の外観。黒川紀章の設計による地上4階、地下1階の建物は4700枚のガラスで覆われ、外壁の曲線の美しさが際立つ

 東京・六本木に国立新美術館が1月21日、オープンした。5番目の国立美術館で、開館記念展「20世紀美術探検-アーティストたちの三つの冒険物語」を現在開催中だ。(3月19日まで)。

 東京・六本木駅から約5分。4700枚のガラスで覆われた曲線の外壁の美しさが際だつ。地上4階、地下1階の建物は黒川紀章さんの設計だ。国立美術館の新設は77年の国立国際美術館(大阪市北区)以来、30年ぶりのことである。

 同美術館の最大の特徴は、コレクションを持たないこと。日本国内最大級の展示スペース(約1万4000平方㍍)を生かして、多彩な展覧会を開催し、美術に関する情報や資料の収集・公開・提供、教育普及など、アートセンターとしての役割を果たす、新しいタイプの美術館である。

 また、展覧会カタログを中心とした美術に関する情報や資料の収集・公開・提供、子どもから大人までを対象とした教育普及活動を展開していく。カフェやレストランも備え、人が自由に出入りする美術館を目指す。

 内外から多くの情報が集まる国際都市、東京に立地する美術館として、「美術」を介して人々がさまざまな価値観に触れる機会を提供し、相互理解と共生の視点に立った新しい文化の創造に寄与することを目的とする。

 ロゴマークは「新」。「新」という日本語のモチーフには、日本の美術館として様々な新しい試み、先進的で独創的な活動を展開してく存在という意味が凝縮されている。

 開館記念展として開かれている「20世紀美術探検-アーティストたちの三つの冒険物語」は、冒険精神にあふれたアーティストたちの果敢な挑戦から生まれた多種多様な20世紀美術の展開を、デザイン、工芸、建築など様々な分野で紹介する試みだ。国立美術館のコレクションを核にしながら、国内外の多くの美術館に協力を依頼し、約280人の作家の600点を超える貴重な作品が世界各地から集められ、1階約6000平方㍍のスペースに展示されている。

 その出展者の一人が、韓国出身の李禹煥さんの作品「関係項―サイレンス」(神奈川県立近代美術館所蔵)だ。李さんは1936年韓国生まれ。56年に来日し、以後日本を拠点に活動している。60年代末の「もの派」の中心的な役割を担い、日本の現代美術に大きな影響を与えた作家である。2005年には横浜美術館で李禹煥展「余白の芸術」が開催されて話題となっている。

 同展ではまた、濱田庄司の作品も展示されている。濱田庄司は1894年生まれの日本を代表する陶芸家の一人(1978年没)。民芸運動の柳宗悦と知遇を得て、自身も民芸運動に参加。柳の没後は日本民藝館の第2代館長に就任した経験を持つ。20世紀美術の展示に民芸運動が組み込まれた興味深い内容だ。オープン初日には5000人以上が訪れる盛況ぶりを示し、2人の作品に見入る人も数多く見られた。

 美術館では今後も、新しい美術の動向に焦点をあてた自主企画展や、他の美術館との共催による展覧会を開催していく。

 7日には「ポンピドーセンター所蔵作品展 異邦人たちのパリ」が、同美術館2階で始まった。パリで創作したピカソ、モディリアーニなど外国人芸術家の作品約200点を一挙展示する企画だ。

■「20世紀美術探検」■
3月19日まで。一般1,100円、大学生600円。

■「ポンピドーセンター所蔵作品展・異邦人たちのパリ」■
5月7日まで。一般1,700円、大学生1,200円。

開館時間:午前10時~午後6時(金曜午後8時まで、火曜休館)
℡03・5777・8600(ハローダイヤル)