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2008/09/19

<韓国文化>アジアの交響楽団の実力に注目

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    プサン・フィルハーモニー交響楽団は1962年設立。ソウル・フィルやKBS交響楽団と共に伝統のあるオーケストラだ

 「アジアオーケストラウィーク2008」が、10月2日から6日まで、東京・大阪で開かれる。7年目を迎える今年のテーマは「沸き立つ音楽を聴く!アジアをつなぐ三夜」。韓国=プサン・フィルハーモニー交響楽団、中国=四川交響楽団、ベトナム=ホーチミン市交響楽団の3楽団が演奏を行う。今公演の意義について、日本オーケストラ連盟顧問の岡山尚幹(おかやま・なおもと)さんに文章を寄せてもらった。

 芸術の秋に文化庁が主催する「アジアオーケストラウィーク」の7年目が、東京オペラシティー・コンサートホールとザ・シンフォニーホール(大阪)で今年も10月2日から開催される。この催しが2002年に始まって以来、すでにアジア・太平洋の国と地域から30のオーケストラが招かれ、東京と大阪で演奏を披露してきた。

 アジアの国々は、それぞれその国固有の伝統芸術を持っているのだが、生活の形態のほとんどが国際化され、共通する感性を持つようになってきた今日、音楽芸術の表現手段として国際的に通用するオーケストラ音楽を多くの国で受け入れるようになった。オーケストラはヨーロッパで誕生・発展してきた音楽芸術ではあるが、もはや現代社会に欠かせない音楽芸術であるとの認識の下、この「アジアオーケストラウィーク」は日本政府(文化庁)の主催で始められた。

 演奏曲は、自国の作曲家による作品、自国の若い演奏家の紹介、得意とするオーケストラ名曲の組み合わせをコンセプトとして構成されている。そのため、この事業は国際的な音楽による文化交流に役立っているばかりでなく、音楽的にも大きな意味を持つ音楽祭として世界から注目される様になってきた。毎年、幾つかのオーケストラが招かれているが、韓国と中国には他のアジアの国と違ってかなりの数のプロフェッショナルオーケストラが活動しているので、結果として韓国と中国からは毎年どこかのオーケストラが招かれてきた。

 今年招かれる3つのオーケストラは、韓国からはプサン交響楽団、中国からは四川交響楽団、ベトナムからホーチミン市交響楽団である。

 プサン・フィルハーモニー交響楽団の設立は1962年であり、韓国の他のオーケストラのなかではソウル・フィルハーモニック管弦楽団、KBS交響楽団についで長い歴史を持っているオーケストラである。設立以来優れた韓国人指揮者ばかりでなく、海外からも国際的に活躍する指揮者や独奏者を招くことにより研鑽を積み、演奏力を高め、1997年のアメリカ演奏旅行や2000年の東南アジア、2002年の中国演奏旅行を大成功させている。首都ソウル以外の都市にあるオーケストラの中では突出した活動をしているオーケストラであるが、今回がオーケストラとしては初来日である。

 もちろん、すでに一部の楽員は、九州福岡市で毎年9月に開催されるアジア・フレンドリーコンサートに参加しており、かつて広島交響楽団との合同演奏に来日した楽員も含め、日本との交流はかなり深い。ヴァイオリン独奏者としてオーケストラとともに来日するデニス・キムは現在ソウル・フィルのコンサートマスターとして活躍する海外経験も豊かな32歳の俊才で、バーバー作曲のヴァイオリン協奏曲を披露する。指揮者はロシアのベテラン、アニシモフであり、彼の演奏するショスタコービチの交響曲第5番が聞きものとなることは間違いない。

 さらにキム・オクソン作曲の「豊年歌」は民族楽器テピョンソの力強いソロの響きと民謡の調べが情感たっぷりに演奏されることにも注目して頂きたい。

 日本に一番近い韓国の大都市プサンのオーケストラが東京と大阪で初めて演奏を披露するので、日本のオーケストラファンからの期待も大きいに違いない。(日本オーケストラ連盟顧問・岡山尚幹)


■アジアオーケストラウィーク2008■

10月2日午後7時=四川交響楽団
10月3日午後7時=ホーチミン市交響楽団
10月4日午後6時=プサン・フィル
10月6日午後7時=プサン・フィル
会場:10月2~4日=東京・オペラシティホール
   10月6日=大阪・ザ・シンフォニーホール
料金:3000~1000円。
℡03・5610・7276(日本オーケストラ連盟)