在米コリアンのバイオリニスト、エスター・キム、韓国で人気のジャジー・ポップ・ユニットWINTERPLAYが、日本デビューのためこのほど来日した。音楽活動、韓日の音楽交流などについて、それぞれ聞いた。
◆聴衆と感動共有したい エスター・キムさん◆
在米コリアンの若手女性バイオリニスト、エスター・キムが、今月初めから来日公演を各地で行っている。
「エルガーやモーツァルト、サラサーテなどの優雅でチャーミングな曲を中心に、バイオリンの魅力を感じてもらえる名曲を選んだ。一つの物語を話すような気持ちで演奏している。音楽の深い感動を、日本の聴衆と共有できたらうれしい」
1988年、米国南カリフォルニア生まれ。両親が音楽好きだった関係で、幼い頃から英才教育を受けて育った。ジュリアード音楽院、ウィーン国立音楽大学で学び、2001年にロサンジェルスフィルより、「将来最も有望な音楽家」に選ばれた逸材だ。
「ジュリアードのドロシー・ディレイ教授(故人)には音程にこだわることを学んだ。ウィーン国立音大のフリッシェンシュラガー教授には、演奏スタイルを大切にすることを教えられた。いまはインディアナ大学でハイメ・ラレード氏に師事しているが、自らの音楽に対する解釈を大切にするように言われている。いい先生方にバランス良く学んだことは、私の財産になっている」
現在、米国、韓国、欧州を拠点に活動している。2005年の愛知万博関連イベント「アジア21世紀オーケストラ」で名古屋フィルと共演した経験がある。今回のソロツアーをきっかけに、日本での活動にも力を入れていく予定だ。
在米コリアンとして生まれ、母語は英語だが、大学の授業で韓国語を学んでいる。
「自分はアジア系米国人と思っているが、ルーツがコリアであることは自覚している。地域にも大学にも様々な民族・人種の人たちがいるが、音楽なら分かり合える。それは本当に素晴らしいことだ。日本にも世界的に有名な音楽家がたくさんいる。交流を深められたらと願っている」
ツアーは7月1日、東京の浜離宮朝日ホールでラストを迎える。
◆個性・音楽性を伝えたい WINTERPLAY◆
クール・ビューティーなルックスと甘く透き通る歌声が魅力の女性ヴォーカル、ヘウォン(本名は文慧媛)と、プロデューサー兼ソングライターでもあるトランペット奏者ジュハン・リー(本名は李柱翰)によるジャジー・ポップ・ユニットがWINTERPLAYだ。
2007年11月に結成し、08年1月にリリースしたインディーズ・デビュー・アルバム『CHOCO SNOWBALL』が韓国ジャズ・チャートの初登場1位となり、一躍注目を集めた。
今年3月にソウルで行われた3日間に及ぶコンサートでは、延べ4000人の観客を動員、楽曲が有名企業のテレビCMに起用されるなど、国内の人気を確立。国際的に活動の場を広げるべく、7月22日に日本デビューを果たすことになった。
「私が小さい頃は(日本の大衆文化開放前で)日本の音楽にまだ自由に接することが出来なかった。今は韓国で日本の歌手が、日本で韓国の歌手が人気を博している。本当に近い関係になった。私たちユニットの個性、音楽性を日本のファンに聞いてもらうのがとても楽しみ」(へウォン)
「日本のファンに楽しんでもらうには、親しみやすい歌詞とメロディが大切と思っている。人々の心を癒す音楽を作っていきたい。韓日の音楽交流はとても大切だ」(ジュハン・リー)
へウォンは韓国・全州出身。檀国大学入学後、ジャズ歌手として活躍した。ジュハン・リーとユニット結成後は、ポップス、ソウルなど様々なジャンルを自然体で歌いこなす「七変化のボーカル」に変身した。
ジュハン・リーは父が外交官だった関係で、幼少期から世界各国で過ごす。ワシントン大学卒業後、ジャズ・ミュージシャンとして活躍。最近は音楽プロデューサーの仕事も行っている。
日本デビュー・アルバムは「Songs of Colored Love」。オリジナル曲、カバー曲など13曲を収録した。
「音楽の力で愛を伝えたい」と2人は最後に強調した。