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2009/09/18

<韓国文化>アジアのオーケストラに注目を

  • アジアのオーケストラに注目を①

    インチョン・フィルハーモニック管弦楽団

  • アジアのオーケストラに注目を②

    シン・アラー

 「アジアオーケストラウィーク2009」が、10月2日から5日まで東京と大阪で開催される。今年のテーマは「沸き立つ音楽!アジアをつなぐ」で、韓国=インチョン・フィルハーモニック管弦楽団、中国=武漢管弦楽団、タイ=タイ・フィルハーモニック管弦楽団の3楽団が演奏を行う。同公演について、事務局より文章を寄せてもらった。

 この6月、アメリカの「ヴァン・クライバーン国際ピアノ・コンクール」で辻井伸行さんが金メダル、同じ金メダルを中国のピアニストが、銀メダルを韓国のピアニストが受賞、アジアの音楽家たちがメダルを独占したのは記憶に新しい。

 そうした中、芸術の秋恒例となった文化庁芸術祭主催公演として行われる「アジア オーケストラ ウィーク」が、10月2日から東京と大阪で開催される。東京は初台の東京オペラシティ・コンサートホール、大阪はザ・シンフォニーホールだ。この催しは2002年に始まって以来、アジア太平洋地域から35のオーケストラが招かれ、熱いサウンドで感動的な音楽を聴かせてくれた。実は「ヴァン・クライバーン・コンクール」の銀メダリストも、この「ウィーク」で本格的デビューを果たした韓国のヨン・ソルムであった。

 近年オーケストラの躍進目覚しい韓国には30以上のプロフェッショナルオーケストラが凌ぎを削っており、その韓国からインチョン・フィルハーモニック管弦楽団が来日する。近年仁川はハブ空港として国際的な注目を集めている都市であり、人口の多さでは三本の指に入る大都市に成長している。オーケストラの歴史も長くかの地で40年を誇る。

 ソリストも、注目の若手たちが出演する。特に韓国からは日本でも受賞歴のある人気のヴァイオリン奏者シン・アラー。83年生まれのシン・アラーは、韓国国立芸術大学および大学院でキム・ナムユンに学んだヴァイオリン奏者。現在、韓国国立芸術大学で教育活動を行うほか、韓国の若手音楽家たちの室内楽グループ、クムホ・アシアナ・ソロイスツのメンバーとしても活躍中。06年にスイスの「ティボール・ヴァルガ国際ヴァイオリン・コンクール」第2位、07年には「第3回仙台国際ヴァイオリン・コンクール」第3位に入賞するなど、数多くの国際コンクールに出場し、優秀な成績を残している。

ポーランド・フィルハーモニック管弦楽団やモスクワ・フィルハーモニー管弦楽団、仙台フィルハーモニー管弦楽団などと共演。メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲は必聴だ。

 指揮者もすばらしい。韓国からは、世界中から声がかかるマエストロ、チェン・ゾウハン。インチョン・フィルハーモニック管弦楽団音楽監督および中国国家大劇院芸術監督を務め、47年に上海で生まれた指揮者。北京にある中央音楽学院指揮科を卒業後、その才能を認めた小澤征爾の推薦で渡米し、ミシガン大学で中国人として初めて音楽博士号を取得した。

 87年に中国中央交響楽団指揮者に就任するとアメリカの24都市をめぐるツアーを行い、これは中国のオーケストラにとって歴史的快挙となった。96年、中国国家交響楽団創設に尽力、芸術監督に就任して中国を代表するオーケストラに育てた。また、中国のオーケストラ作品や優秀な演奏家を積極的に世界に紹介し、その情熱的な指揮は世界中の音楽家たちから絶賛されている。サン・サーンス交響曲第3番を情緒豊かに聴かせてくれるであろう。

 タイからは、グドゥニ・エミルソン、中国からはリュウ・パンが参加し、ここに、アジアの情熱的なサウンドが沸き立つ。地球規模の変革時代にあって大きく躍進するアジア。この「ウィーク」は国際的な文化交流としてだけでなく、音楽的に大きな意味を持つ音楽祭として、いま世界から注目されている。ことしも、アジアのオーケストラを堪能してほしい。


■アジアオーケストラウィーク2009■

10月2日午後7時=タイ・フィルハーモニック管弦楽団
10月3日午後6時=武漢管弦楽団
10月4日午後3時=インチョン・フィルハーモニック管弦楽団
10月5日午後7時=インチョン・フィルハーモニック管弦楽団
会場:10月2~4日=東京オペラシティホール
    10月5日=ザ・シンフォニーホール(大阪)
料金:3000~1000円
電話:03・5610・7276(日本オーケストラ連盟)