日本の人気漫画家よしながふみ原作の「西洋骨董菓子店」を韓国で映画化した『アンティーク~西洋骨董菓子店』が、18日から公開される。「心の傷から立ち直ろうとする4人の男たちの描写に神経を注いだ。日本の漫画を映画化することで韓日文化交流に貢献できればうれしい」と閔奎東(ミン・ギュドン)監督は話した。
――よしながふみさんの原作漫画との出会ったきっかけは?
8年前に初めて読んだが、洋菓子店を舞台にした物語に全員男性のキャストを配するアイデアに感心した。そしてキャラクターがみな魅力的で、物語の進行に洋菓子や骨董品がうまく配置されていることに驚いた。
また、心に傷を負った人たちが、その過去の苦痛から逃れようとする気持ちを、強迫的でなく温かく眺める視線がすばらしいと感じた。
多くの登場人物とエピソードを出てくる原作を2時間にまとめるのは容易ではなかった。そのためシナリオとキャスティングに2年半を要した。展開を圧縮するため、ミュージカルシーンを取り入れることにしたが、そのシーンを考えるだけで1年以上かかった。しかしミュージカルシーンを入れたことで視覚的にも美しくなり、成功したと思っている。
苦労したのはまず、漫画を映画化する作品に投資会社の理解を得ることだった。撮影では、心に傷を抱えながら生きている男たちが、最後に心の傷が多少でも軽くなって歩みだす変化を描き出すことに神経を集中した。
――監督はソウル大学校を出てから映画界に入っているが。
進学するならとソウル大学校に入ったが、授業よりも哲学や歴史、芸術などへの関心が次第に高まっていった。入隊中に兵士のための映画上映会でヒッチコックの作品を見て、映画に興味を持った。それで映画学校に入り、短編作品を何本か作ってから、本格的に映画の道に入った。
――日本に対する印象は。
愛国的な教育を受けてきた影響か、歴史認識などで反日的な考えに縛られた部分はあった。しかし、大人になって日本文化に接してみると、同じアジアの国としてとても魅力的に感じた。純真さ、逆に暴力性など、多種多様な文化に、ある種のうらやましさと劣等感を感じた。
韓日の文化交流は長い歴史があるのに、この数十年間歴史的な問題で停滞が続いていた。しかし最近は交流が活発化している。私が日本の漫画を映画化したのもその一つだ。今後は文化交流を通じて、双方の魅力、ビジョンといったものを伝え合えたら良いのではないだろうか。
――韓国映画界は停滞が続いていると聞くが。
確かにこの数年ヒット作が少なく、観客動員も落ちている。しかし、その一方で低予算で作られた映画がヒットするなどしている。観客の目が肥えて、映画の完成度が問われるようになった。
今後とも厳しい状況は続いていくと思うが、才能あふれる新人が出て来るようにもなったし、期待したいと思っている。私自身は短編映画の制作を終わったところで、次回作は日本の小説家、宮部みゆきの作品を映画化する。来年初めに公開予定なので期待してほしい。