欧州中心に活躍する指揮者の李永七がこのほど、東京ニューシティ管弦楽団を指揮してチャイコフスキー交響曲第4番を都内で演奏、大好評を博した。また同じく欧州で活躍する声楽家の金宇耕は、東京・初台の新国立劇場で上演中のオペラ『椿姫』に主役のアルフレード役で出演し、大拍手を浴びている。二人に話を聞いた。
◆聴衆を喜ばせる音楽を ――李 永七(イ・ヨンチル、指揮者)◆
ブルガリアで指揮を勉強した。数多くの挑戦を繰り返し、必死に学び、演奏活動を積み重ねる中で、指揮は私の道だと考えられるようになった。
指揮者としての勉強をする時、頭でなく心で学ぶようにしている。音楽は人の心を動かさなければならないので、心で音楽を理解しなければなければならない。
私の音楽を聞くすべての人々に感動を与えられるようになりたい。聴衆と共に喜びを感じることができる、そのような演奏をしたいと常に思っている。ラフマニノフやブラームスが特に好きだ。
昨年、NHK交響楽団、今年初めに東京ニューシティ管弦楽団を指揮したが、日本の音楽家は欧州のオーケストラと同等な音楽的水準を持っていると強く感じた。
韓国には世界的指揮者の鄭明勲(チョン・ミョンフン)氏という大先輩がいる。鄭明勲氏の努力と情熱で、多くの外国の音楽家らが、韓国出身の音楽家に対して関心を持つことになった。本当に立派な方で、尊敬し、目標としている。
韓国ではこの間、優秀な音楽家がたくさん出てきている。若くて能力ある若い指揮者を多数養成できるように後押ししたい。
韓国と日本は情操的に似た点が多く、どの国よりも互いに通じる部分が多いと考えている。韓国のアイドルスターらが日本で多くのファンを持つのも、そういう共通点があるからだと思う。
音楽は国籍を離れて全世界が一つになって意思疎通することができるとても重要なジャンルだ。クラシックもまた、韓日音楽交流の発展に寄与する役割があると考えている。
◆努力重ね心に響く歌を ――金 宇耕(キム・ウギョン、声楽家)◆
日本でのオペラデビュー、特に新国立劇場での公演はとても意義深い。運営システムがヨーロッパ式であったことがとても印象的であり、歌手を心安らかにしてくれ、良い公演ができるようにすべての面で管理をしてくれていることに感謝したい。
14日はあいにくと雪が降っていたが、そんな中でも大勢のオペラファンが訪れ、熱い拍手で応援してくれたことは、本当にうれしいし、気持ちがよかった。
特に得意な演目というのはなく、その時々の公演に常に全力を尽くし、その演目の役割に忠実であり上手に行うよう努力をするだけと思っている。どれだけ努力しても満足することはなく、常に不足点を感じ反省材料にしている。
さまざまなオペラに描かれる愛と死と友情を、これからも歌い上げたいし、さらに技術と経験、年輪を積み重ねて、人生の深さを感じさせるオペラを見せたい。
3月に韓国でグノーの「ファウスト」を演じる予定だ。まだ詳細は決まっていないが、私の韓国でのオペラデビューでもあり、とても楽しみにしている。多くの観客に私を記憶してもらえるよう、そしてヨーロッパオペラの魅力を知ってもらえるよう、誠心誠意歌いたい。
オペラは私にとって人生そのものだ。東洋人が西洋音楽であるオペラを行うには、彼らより何倍も努力しなければならない。この世の中に最後に残った純粋さがあるならば、私はそれが音楽だと考えている。
私が出演したオペラを観て、私の歌を聞いて、観客がその間、私と同じ感情を共有し楽しんでくれることを常に願っている。公演はまだ3回(20、23、26日)あるので、ぜひ観てほしい。