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2011/07/15

<韓国文化>韓国女性映画監督が台頭

  • 韓国女性映画監督が台頭

    ミュージカル界出身の張裕貞監督

  • 韓国女性映画監督が台頭②

    『あなたの初恋探します』

  • 韓国女性映画監督が台頭③

    林順禮、李廷香、邊永主監督(左から)

 韓国女性映画監督の活躍が目覚しい。ミュージカル界から映画界に進出した張裕貞監督は、自作を映画化した『あなたの初恋探します』を制作。日本でも公開され好評を博している。他の女性監督も次々と新作に挑んでいる。張監督のインタビューと、女性映画監督の近況を紹介する。

◆「初恋の切なさ描いた」 ―― 張 裕貞(チャン・ユジョン)監督

 母が韓国舞踊の学校を経営していた関係で、子供の頃から舞踊を見ていた。小学生のころには“パンソリ”(韓国の伝統的な歌唱)を習った。また楽器に興味があって、韓国伝統楽器から、フルート、ピアノ、ギターなど何でも習っていた。97年頃から海外へ旅行に行くようになり、英国、インド、ラトビア、ロシア、モンゴル、中国など様々な国の文化、演劇作品に触れたことにより、ミュージカルをやろうと思うようになった。

 『あなたの初恋探します』の劇中には『ラストショー』というミュージカルのシーンを入れているが、ミュージカル1本を別に作れるくらいの時間とお金をかけた。多くの苦労があったが、今度は本格的なミュージカル映画を撮りたい。それが夢なので、1歩近づけたかなと思っている。

 また、主人公ジウのキャラクター設定が大変だった。ジウは(人探し事務所の)ギジュンと一緒に初恋の人キム・ジョンウクを探しているが、実際には探していない。探すのを楽しんでいる感じがある。彼女はキム・ジョンウクを愛していたけれど、自分のモノにしたいとは思っていなかった。愛していたという、その記憶だけを心にしまっておきたかった。実際に見つけられるとも思っていない。見つからなければ、永遠に美しい記憶として残る訳だから。ミュージカルも映画も、アラサー女性が主人公となっている。この年代の女性は、仕事に生きていくか、結婚を選ぶかで悩む年齢だと思う。ジウには、キム・ジョンウクとの美しい思い出があるからこそ、仕事を選ぶ覚悟ができたと思う。原作では歌で細かく説明できたけど、映画ではそうはいかなかったので、かなり苦労した。

 初恋とは決して取り戻すことのできない、非常に切ないものであって、とても純粋なもので、また情熱的なものだと思う。初恋は、愛する人に本当に心からの愛情を注ぐことができる価値のある行動だと思う。また、おそらく自分が最も美しかった頃、純粋だった頃を記憶しておくものだとも思っている。

 この映画は、過去の美しい初恋の思い出をよみがえらせてくれる作品であり、今現在の愛の大切さも同時に、気づかせてくれる健全なロマンチックコメディーだ。この作品を見て、昔を思い出して、いま隣にいる人の優しさや、その人を大切に思うきっかけとなればと願っている。東日本大震災で辛い状況にある日本の皆さんが、この映画を見て、少しでも元気になってくれればと願う。

 日韓の文化交流は、非常に盛んになっている。韓国では日本のドラマ人気が高く、ドラマや映画から日本の文化に触れ、興味関心を持っている。同じように、日本も韓国ドラマや映画に触れることによって、韓国文化に関心を持ってくれるということは、非常に良いことだと思う。韓日の文化交流ももっと盛んになって、音楽、ダンス、演劇、映画など様々な面で、互いに発展していければ、すごくいいことだと思う。


◆李 廷香(イ・ジョンヒャン)監督 『今日』で9年ぶり復帰

 林順禮(イム・スルレ)監督は、ペットと人間の共感を描いたオムニバス映画「ごめんね、ありがとう」を制作。同映画はソウル国際女性映画祭などで上映され話題となった。林監督はペットに対する社会認識の転換を呼びかけている。

 09年に映画『いま、このままが良いです』でデビューした夫智瑛(プ・ジヨン)監督は、2作目の映画『愛情万歳』を公開した。大きな娘をもつ母親が同じ職場の男性に対する片思いする内容で、中年女性を繊細ながらも斬新に描写した。李廷香監督は、映画『今日』で復帰する。映画『おばあちゃんの家』(02年)以来9年ぶりの作品で、放送局の女性プロデユーサーがひき逃げ事故で恋人を失った後の心理的変化を描いた。今夏に公開予定だ。

 『僕らのバレエ教室』(04年)の邊永主(ピョン・ヨンジュ)監督は、映画『火車』で復帰する。原作は、日本の推理小説家・宮部みゆきの同名小説。失踪した婚約者を探す男が、その女性の正体を知ることで衝撃と恐怖に包まれるミステリー作だ。

 女優出身の監督も、新作を準備。秋相微(チュ・サンミ)氏はソウル国際女性映画祭の出品作「扮装室(メイク室)」で監督デビューした。

 昨年『妖術』で監督デビューした具惠善(ク・ヘソン)氏は、2作目の映画『桃の木』を準備中だ。