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2011/08/19

<韓国文化>伝統と現代・韓国の美に触れよう

  • 伝統と現代・韓国の美に触れよう①

    「螺鈿魚文盆」(朝鮮王朝時代、17~18世紀)

  • 伝統と現代・韓国の美に触れよう②

    呉夏枝「あるものがたり」2010 作品蔵 写真:福永一夫

  • 伝統と現代・韓国の美に触れよう③

     浅川巧のデスマスク(写真提供:北杜市浅川伯教・巧兄弟資料館)

  • 伝統と現代・韓国の美に触れよう④

    青花辰砂蓮花文壺 朝鮮時代・18世紀後半 大阪市立東洋陶磁美術館蔵

  • 伝統と現代・韓国の美に触れよう⑤

           韓 盛弼/HAN Sungpil 《Melting》2008
      (c)Han Sungpil.Courtesy Arario Gallery,Seoul and Cheonan

 各地の美術館で韓国の美術品が紹介されている。奈良・大和文華館の「漆工展」では高麗―朝鮮時代の螺鈿細工の名品、金沢21世紀美術館の「Inner Voices―内なる声」では、韓国女性作家の作品を展示。また浅川巧生誕120年を記念して、千葉市美術館では「浅川伯教・巧兄弟の心と眼 朝鮮時代の美」、山梨の浅川伯教・巧兄弟資料館では、「浅川巧からのメッセージ~自然法に帰せ~」展を開催中だ。さらに神奈川で開催中の「ヨコハマトリエンナーレ2011」でも、韓国人作家の作品が展示されている。


◆高麗~朝鮮時代の螺鈿(らでん) 大和文華館◆

 大和文華館の開館50周年記念特別企画展Ⅲ「漆工展」(10月2日まで)は、韓半島、日本、中国の漆器の名品など約80点を紹介。

 近年では身近に見ることが少なくなってきた漆器は、なめらかで温かみのある質感や、また螺鈿や金銀によって装飾された艶やかな美しさによって、東洋では古来より親しまれてきた。

 漆は塗料として器を強化するとともに、接着剤ともなり、さらには美しさを際立たせる役割も果たす。東アジアでは、器形や漆そのものの色に美しさを求めた無文漆器、螺鈿細工、蒔絵、彫漆など様々な技法を用いて多様な作品が生み出されてきた。これらの漆器は国家間の贈答や献上にも用いられている。

 同展では、それぞれの作品が持つ漆の美しさを鑑賞するとともに、地域における技や特色の変遷、また、影響関係を考える。℡0742・45・0544。


◆現代女性作家の作品を 金沢21世紀美術館◆

 金沢21世紀美術館の「Inner Voices」展(11月6日まで)は、経済成長とともにグローバル化の波を受けてきた1960年代以降に生まれた女性作家たちに注目し、生の困難さと可能性の両面を人間に見る、彼女たちのInner Voices―内なる声に耳を傾けた展示会だ。

 韓国人作家は呉夏枝とキム・ソラが出品している。

 呉夏枝は1976年大阪生まれの在日3世。在日としての来歴と行方を見据えた作品を発表。

 キム・ソラは1965年ソウル生まれ。各人が持つ固有の「時間」の概念を使ったインスタレーション作品を発表している。℡076・220・2800。


◆朝鮮の土となった日本人 浅川伯教・巧兄弟資料館◆

 浅川伯教・巧兄弟資料館では、浅川巧生誕120年記念「朝鮮の土となった日本人 浅川巧からのメッセージ ~自然法に帰せ~」を開催中(12月25日まで)。

 同展では、山梨農林学校(現 山梨県立農林高等学校)の後輩であり、義弟でもある親友の浅川政歳が編んだアルバムに綴られた写真や手紙から、浅川巧の生きた40年を振り返る。

 また、林業技術者として、朝鮮工芸研究者として遺した仕事から浅川巧の主張を探る。

 朝鮮美術に眼を向けた浅川巧の人生に流れる「自然法に帰せ」というメッセージを
伝える展示会となっている。℡0551・42・1447。


◆浅川兄弟の心と眼とは 千葉市美術館◆

 千葉市美術館では、「浅川巧生誕120年記念 浅川伯教・巧兄弟の心と眼―朝鮮時代の美」を開催(10月2日まで)。

 山梨県に生まれた浅川伯教と巧の兄弟は、植民地時代の初期、韓半島に渡った。やがて伯教は朝鮮陶磁研究の第一人者となり、また弟の巧も、朝鮮の陶磁器および木工品について名著を残した。朝鮮陶磁の傑作として名高い青花辰砂蓮花文壺や青花窓絵草花文壺など、浅川兄弟と柳宗悦が選び抜いたコレクションをはじめ、伯教作の絵画資料や陶芸作品、柳自筆の原稿、そして同時代の陶芸家たちの作品など約200点を通して、浅川兄弟の事跡を紹介。℡043・221・2311。


◆韓国人作家2人出品 ヨコハマトリエンナーレ◆

 「ヨコハマトリエンナーレ2011」は、11月6日まで、神奈川県横浜市の横浜美術館と日本郵船海岸通倉庫をメーン会場に開催中。

 展示タイトルは「OUR MAGIC HOUR―世界はどこまで知ることができるか?」で、醜さや素晴らしさを併せ持つ人間の姿とともに、世界の多様性や奥深さを示す。韓日をはじめ世界の現代美術家の作品、横浜美術館の所蔵品などが展示される。

 韓国からは韓盛弼、チョン・ジュンホの2作家が出展。同展は01年に始まり、05年、08年に開催され今回が4回目となる。℡03・5777・8600。