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2011/11/18

<韓国文化>クラシックも"韓流"

  • クラシックも”韓流”①

    チョ・ソンジン 1994年韓国生まれ。08年青少年のためのショパン国際ピアノコンクール(モスクワ)第1位。09年第7回浜松国際ピアノコンクールで史上最年少の15歳で第1位獲得。28日に東京オペラシティで公演。℡03・5774・3040。

  • クラシックも”韓流”②

    ソン・ヨルム 1986年韓国生まれ。97年、11歳で若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール2位入賞。09年ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール2位、11年第14回チャイコフスキー国際コンクールピアノ部門2位。

 世界で活躍する韓国人若手音楽家が次々と輩出し、クラシック界にも韓流が起きている。第14回チャイコフスキー国際音楽コンクールのピアノ部門で2位に輝き、先日来日公演を行った孫ヨルム(25)、第7回浜松国際ピアノコンクールで史上最年少の15歳で優勝を成し遂げ、22日から日本ツアーを行う趙成珍(17)の二人に話を聞いた。


◆ロマン派の魅力伝えたい 趙 成珍(17、ピアニスト)◆

 22日に始まる日本ツアーでは、ショパンのバラード全曲とリストのピアノソナタを披露する。

 「ピアニストはそれぞれ個性があるが、ロマン派の曲が自分に合うと以前から思っていた。ショパンのバラード全曲は、ストーリーのある特別な作品だ。ショパンの人生を感じ取ってほしい。リストは9歳の時に初めて聴いて、とても感動した作曲家だ。また、今年はリストの生誕200周年でもあり、この曲を選んだ。ロマン派の魅力に触れてほしい」

 6歳でピアノを始める。09年には、第7回浜松国際ピアノコンクールで史上最年少の15歳で優勝し、中村紘子同コンクール審査委員長に「久々に聴いた桁外れの巨大な才能」と言わしめた。今年3月、鄭明勳指揮チェコ・フィルハーモニーと日本公演を行った。

 「東日本大震災が起きた3月11日は東京にいた。翌12日に演奏会があったが、あの状況でも7割の聴衆が来てくれたことに感謝した。被災地の一日も早い復興を願っている」

 各国で演奏会があり、学校に通う時間が少ないのが悩みだ。

 「来年は欧州に留学したい。海外の有名演奏家の演奏を、いまはネットで聴くことも出来るが、音楽の深さを追求するためにクラシックの本場で学び、生の感覚を身に付けたい。またレパートリーを増やし、フランスの印象派や現代音楽も演奏していきたい。そして自らの音楽世界を作り上げたいと思っている」


◆「自由」を音楽で表現 孫 ヨルム(25、ピアニスト)◆

 25歳とは思えない豊かな表現力と卓越した演奏で、高い評価を得る。

 今年6月に行われた第14回チャイコフスキー国際コンクールピアノ部門で見事第2位入賞。韓国人として過去最上位の成績を収めた。またベスト・パフォーマンス賞を2つ受賞。会場では1位に劣らぬ拍手が寄せられた。自らの音楽世界を持つピアニストとの評価を、すでに得ている。

 「チャイコフスキー国際コンクールの入賞は、本当にうれしかったし、自信になった。譜面に込められた作曲家の意図を深く理解しつつ、舞台ではそれを自然に表現するように務めている。聴衆と音楽の喜びを共有したいと常に考えている」

 若手音楽家が次々と世界に羽ばたく韓国だが、その中でもトップを走る。「韓国クラシック界のヒロイン」的存在だ。

 「スポーツ選手ならオリンピックでメダルを取るのが目標だが、音楽家はコンクール後にキャリアどう積んでいくかがより大切となる。これからに注目してほしい」

 6日に行われた日本公演では、ベスト・パフォーマンス賞を受賞したシチェドリンの「チャイコフスキーエチュード」やバッハ、リストの名曲などを披露した。

 「日本の聴衆はレベルが高いので、やりがいがある。韓日間には複雑な歴史があるが、音楽は人を結びつけ和解を促す役割を果たす。これからも両国で演奏したい」

 豊富なレパートリーを持ち、バロック以前の作品や、20世紀前半のフランス、スペインの作品、現代作曲家の曲なども演奏する。また、ニューヨークでの潘基文・国連事務総長の就任式でも演奏するなど、多方面から注目を浴びている。現在ドイツのハノーバーでアリエ・ヴァルディに師事。

 「私の音楽への姿勢として『自由』がある。演奏会で『自由』を感じ取ってほしい」