90年代以降の韓国現代美術の流れを知る「進・通―1990年代以降の韓国現代美術展」が光州市の光州市立美術館で、先駆的抽象美術家として60年代から活躍した河鍾賢回顧展が京畿道の国立現代美術館で開かれるなど、韓国各地の美術館で話題の美術展が開催され、好評を博している。主な展示を紹介する。
光州市立美術館が開館20周年を記念し、と「進・通-1990年代以降の韓国現代美術展」と「2つのモダニズム」展を開催している。光州市立美術館は1992年に韓国で初めて設立した公立美術館だ。
「進・通-1990年代以降の韓国現代美術展」は、90年代以降の特徴を「日常の変容」「テクノロジーの活用」など4つのテーマに分けて展示。現代美術の多元化現象は、韓国美術が前進するための現象と捉えている。李在孝、洪ギョンテク、李明豪、白南準、李二男の作品など公開している。8月19日まで。
「2つのモダニズム」展は、モダニズムの具象絵画と抽象絵画を「自然、純粋への渇望」「故郷、韓国美の追求」「新しさの追求」の3つに分けて展示している。具象絵画と抽象絵画の両方がみられる南道(京畿道より南側の道)の美術に光を当てた。
具象絵画の土台を作った呉之湖と任直淳は明るく澄んだ色を中心に、南道の風景画や風俗画の様式を確立した。
そして、ヤン・イノク、金フンナムらが具象絵画を継承して、発展させた。
抽象絵画の礎となったのは金煥基だ。また、カン・ヨンウンとヤン・スアらは抽象絵画の発展に大きな影響を与え、64年には光州でinformel(不定形の意味)運動を導いた。
光州市立美術館ではさらに、「河正雄コレクション・郭徳俊展」も開催中だ。
在日の現代美術家、郭徳俊の作品を展示。今月15日まで。
先駆的抽象美術家、河鍾賢氏の回顧展が京畿道・国立現代美術館で8月12日まで開催。
1960年代の初期作品から新作までの代表作85点が展示され、韓国の抽象美術の歴史も見ることができる。
河氏は70年代に最も前衛的美術集団だった韓国アバンギャルド協会の主要メンバーとして活動し、チャレンジ精神にあふれたオブジェや設置作品などを発表。
74年から09年まで続いた代表作の「接合」連作は、キャンバスの後方から絵の具を押し出す独創的技法で制作された。これはキャンバスの表に絵の具を塗るという絵画の固定観念を破り、抽象絵画の新境地を開いたと評価されている。2010年からは「以後の接合」の制作を開始。
今回、初公開される「以後の接合」には、変化と実験への強い意志が込められている。鮮やかに色が塗られたキャンバスを切り、貼り付けた作品だ。
生きていることの喜びを表わしたような煌びやかな原色で表現した。
河氏は「これまで見ていなかった部分を通じて、完成させたい」と話している。
「MOVE1960年代以降の美術と舞踊」展が、京畿道・果川の国立現代美術館で8月12日まで開催中。同展は2010年にロンドン、ドイツに続いて韓国での開催となった。
60年代以降の現代美術に影響を与えた世界的美術家20余人の映像作品など37点、アーカイブ資料180余点を展示。体を動かしながら、鑑賞するよう構成されている。
米国の振り付け師ウィリアム・フォサイスの作品「事件の真実」は体操競技用の吊り輪を使用、観客は作品の空間内を辛うじて歩く。
そこで観客は自身の身体年齢をはじめ、死についても想像することになる。
ダン・グレイアムの作品「2つの向かい合う部屋」は、カメラで誰かを観察および誰かに観察されることの両方を同時に体験できる。
ソウル・錦湖美術館では、「doing」展を8月31日まで開催している。ビニールテープで作った設置作品など日常用品を多く活用し、体験と活動を誘導するようにした展示だ。
ユ・モクヨンの特殊コインを活用した作品「クジ引き」、具ミンジャの仮想の雑貨店「大西洋&太平洋商会」は、観客に遊びと購入の行為を誘導する。「層間騒音」をテーマにしたシム・レジョンの設置作品は、思考の転換を促す。
金ヒョングァンは、カラフルなビニールテープを活用した絵画と設置作品を展示。チュ・セギュンは国旗をテーマにした作品を展示している。