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2012/03/02

<韓国文化>韓国人のアイデンティティーを探究

  • 韓国人のアイデンティティーを探究①

                   権 純哲「魂の光」展より

  • 韓国人のアイデンティティーを探究②

                 李 木乙「スマイル展」より     

  • 韓国人のアイデンティティーを探究③

                 李 聖子作「天使の地」

 顔をテーマにした2人の画家の個展がソウルと京畿道で開かれ、注目を集めている。一方、1950年代半ばにパリへ渡った韓国人画家の作品展もソウルで開催され、反響を呼んでいる。

 在フランスの画家である権純哲氏の「魂の光」展は、ソウル鍾路区のガーナアートセンターで4日まで開催中。哀愁が漂う人物画が展示されている。荒々しい筆使いで濃い色を重ねながら描いた複数の顔。そこには、ぎゅっと閉ざした口、苦悩が入り混じった目、重い表情など人生の軌跡が表れている。

 40余年間、権純哲氏は人生と精神を表す窓口として顔の絵画に集中した。1988年のパリ滞在以降はアイデンティティーについて深く考え、韓国人の情緒を絵の前面に出した。

 今回の展示は04年以来8年ぶりだ。京東市場で働くお婆さんのシワ顔、自画像、極限の苦痛を淡々と耐えたイエスの顔を展示。イエスシリーズは精神の世界と神の領域に拡張した感性を表現。

 新作は、抽象的表現が強い。近くで見ると絵の具の塊のようだが、遠くだと人生の闇を見つめる顔のようだ。平凡な顔にも、深みと存在感を持たせた点が印象的だ。

 極写実主義の絵画で有名な李木乙氏の「スマイル」展は、京畿道城南市盆唐区のアムウェイギャラリーで19日まで開かれ、笑顔を含めた150余点を展示している。

 李木乙氏の個展は、重ね塗りすることなく目と口を線で描いた微笑が目を引く。

 李氏は中学生の時に左目の視力を失ったが、リンゴやナツメなどの写実的描写で名声を得た。しかし、2年前に「目を酷使すれば、片方の視力も失うことがある」と医師から通告され、常に失明の不安を抱えていた李氏は「微笑み」に突破口を見出した。李氏は「微笑みを取り戻すことこそが人生を支える」と話す。

 一度に10分以上の作業ができないという李氏。一堂に集まった微笑む姿を描いた絵には、共存に対するメッセージがある。

 「1958-エコール・ド・パリ」展がソウル・忠武路の新世界ギャラリーで開催中だ。1950年代半ばにパリへ渡った韓国人画家の作品や資料を展示。初期の留学派画家が欧州の叙情的抽象運動に接し、これを基に韓国的な抽象美術へ発展させた過程がみられる。画家は権玉淵、金煥基、南寛、孫東鎭、李聖子、李世得など。

 韓国戦争を経験して、葛藤した韓国人画家がパリの国際画壇で学び、公募展に出品するなど広い世界で活躍。彼らは国内の画壇に影響を与えており、パリ滞在時代の作品は美術史的な意味を持つ。

 展示作品で共通するのは、韓国的なテーマと美意識について考えた痕跡が表れている点だ。孫東鎭は「石窟庵」や「仮面劇」などを西欧的に表現。

 金煥基は「壷」「鳥」などで韓国的情緒を生かした。パリ生活の中で郷土的テーマを好んだ李世得、東洋的な美と西洋的解釈の繋げ方について探求した李聖子の作品も目を引く。

 パリに渡った画家が夢見た世界とは、何であるのか。また、彼らがどのように世界の美術を受け入れ、影響を与えていたのかが分かる。19日まで。