東京・江東区で市民密着型の運営で人気を誇る東京シティ・バレエ団には、４人の韓国人ダンサーがいる。日本に来てまだ８カ月のキム・セジョンは、31日の公演『ロミオとジュリエット』で主役のロミオに抜てきされた。バレエを通して韓日交流に寄与したいという彼らに話を聞いた。

◆大役ロミオに挑む情熱的な表現を　キム・セジョンさん◆

　日本に来てまだ８カ月なのに、古典バレエの名作『ロミオとジュリエット』の主役をもらい、大変緊張している。ロミオは、純粋で太陽のように明るい16歳の青年なので、そのイメージを大切にして演じたい。

　日本語がまだ出来ないので、ジュリエット役の志賀育恵さんとは呼吸で合わせている。

　バルコニーのシーンで２人の愛に満ちた空間をどう情熱的に表現するか、そして一幕の最後、ティボルトとの緊迫した決闘シーンをどう演じるかに集中している。

　バレエを始めたのは遅く、高校生の時だ。ユニバーサル・バレエ団で活動後、先輩が在籍する東京シティ・バレエ団のオーディションを受けて合格・入団した。日本で精いっぱい活動し、多くの役柄に挑戦したい。

◆韓日のバレエ交流貢献の方法模索　キム・ボヨンさん◆

　ロミオと敵対するティボルトを演じる。初めて演じる役だが、振り付けがいいので楽しみにしている。ティボルトの、静かだが青白く燃える炎のような魅力を出せればと考えている。

　日本に来た05年には、まだ韓日交流が少なかった。特にバレエ交流は少なかったと思う。私が日本で活動を続けていることが韓国でも話題になり、日本でバレエを踊りたいという後輩も増えた。

　韓日の文化交流はこの数年激増したが、バレエ団の交流はまだ少ない。特に日本のバレエ団が韓国に行く機会はほとんど無いので、バレエ交流に貢献する具体的方法を考えていきたい。

◆両国の長所共有しバレエ教育発展を　チョ・ミンヨンさん◆

　マキューシオを演じる。彼はロミオの親友であり、物語を進行させる役でもあるので、プレッシャーを感じているが、マキューシオの内面を見せる踊りを披露したい。特に敵役であるティボルトとの決闘シーンを、深く表現したいと考えている。

　05年にキム・ボヨンさんと一緒に日本に来たが、多くの役を演じる機会に恵まれ感謝している。
　
　韓国は学校教育でバレエを学ぶ場は多いが、バレエ団が少ないので、個々の技量を発達させる機会が少ない。それが残念だ。両国のバレエ交流が深まれば、お互いに長所を学びあえるので、将来、何か取り組みを行いたいと思っている。

　妻は日本人で宮城県仙台市出身なので、東日本大震災には本当に驚いたし、とても心配した。一日も早く被災地が復興してほしいと願っている。

◆６月の韓国バレエフェスティバル出演　ソ・ユンソクさん◆

　ソウルバレエシアターで活動後、08年に入団した。『ロミオとジュリエット』では出番は少ないが、いつも通り一生懸命踊りたい。

　私はダンサー兼振付家で、昨年５月にはラフィネ・バレエコンサート『ＤＥＶＩＬ’Ｓ ＴＥＭＰＴＡＴＩＯＮ』を振付した。

　これは利己心と貪欲さにかられた人間の魂を奪うため、人間世界に降りて来た悪魔と、それに翻弄されながらも、愛の力で弱い心を克服しようとする人間の物語だ。

　幸い好評をいただき、６月にソウルで開かれる韓国国立バレエ団主催の韓国バレエフェスティバルに、この作品で出演することになった。

　東京シティ・バレエ団で成長した姿を見せるチャンスなので全力でぶつかりたい。

　そしてバレエを通して韓日交流を促進させたい。

■東京シティ・バレエ団■
　東京シティ・バレエ団は１９６８年創立。70年代から韓国と文化交流を行い、72年と74年に韓国公演を実現させた。94年に東京・江東区と芸術提携を結んでいる。韓国人ダンサーの受け入れにも積極的で、現在４人が在籍。

■ロミオとジュリエット■
日時：３月30日午後６時30分と31日午後２時の２回
場所：新国立劇場中劇場
料金：Ｓ席１万円
電話：03･5638･2720　※31日公演は完売