伝統工芸、伝統画、西洋画など韓国国内で話題の展示会をまとめて紹介する。
◆西洋画家チョン・ジクソン個展 金鍾瑛美術館◆
西洋画家チョン・ジクソン氏の個展が金鍾瑛美術館で6月14日まで開催中だ。
同美術館はチョン氏を「2012 今日の作家」に選定。この制度は04年から始まったが、絵画の画家に光を当てたのは初めてだ。
都市空間に注目するチョン氏は、連立住宅などを描いた「住宅」シリーズの作品で知られている。
今回の個展では認知度を高めた前作でなく、実験を試みた作品50余点を公開。
新作は都市の送電塔や工事現場などをテーマにし、より抽象的に解釈された。都市を歩きながら観察したことを土台にし、絵の具を噴射および消す作業は時間の流れも表している。
力強い筆使いは躍動感、絵の具が流れた跡や線は人生の不確実性と解釈できる。
◆韓国美術の龍の物語展 湖巖美術館◆
京畿道龍仁市・湖巖美術館では開館30周年を記念し、「韓国美術の龍の物語展」を来年1月13日まで開催。国宝1点、宝物2点をはじめ、陶磁器、仏教美術、民俗遺物など58点を展示中だ。
龍は王の権威、仏法の守護、厄除けの象徴となっている。この展示は、龍のイメージが宮中および民間の生活にどれだけ深く根付いているかを示す。
龍になれなかったウワバミ(大蛇)、龍とウワバミの中間段階で髭と角がない半龍、魚の形の魚龍などが絵画、陶磁器、木製家具などに描かれている。
◆眞景時代の絵画大展 澗松美術館◆
文化財収集家、全鎣弼(1906~62)の死去から半世紀を迎える。全鎣弼は日本の植民地時代に韓国の文化遺産を守ることに尽力した人物で、澗松美術館(ソウル城北区)を建てた。澗松美術館は全鎣弼の50周忌を迎え、春の定期展のテーマを「眞景時代の絵画大展」とした。眞景時代は、粛宗から正宗まで120年余り続いた朝鮮後期文化の黄金期だ。全鎣弼は韓国の美を追究した眞景時代の作品の収集に力を入れた。
眞景時代の代表的画家には、鄭敾が上げられる。鄭敾は韓国の山川、家、韓服姿の人々などを描いた。仁王山の岩を濃厚な墨で表現した「清風渓」、峨嵯山を描いた「広津」は、鄭敾が60代半ばに珍景画風を完成した頃の作品だ。70代の時に完成した「断髪嶺望金剛」は最高潮の技量をみせる。
幼い頃に鄭敾から絵を学んだ沈師正は明の南宗画風を受容しながら、独自の山水画風を確立した。
今回の展示は27日まで開催。鄭敾をはじめ、沈師正、金弘道、申潤福などの山水および風俗画など100余点を公開。全鎣弼の直筆文や絵画4点も展示される。
◆閔庚甲氏の個展「自然に道を尋ねる」 ソウル市立美術館◆
画家・閔庚甲氏(78)の個展「自然に道を尋ねる」が、ソウル市立美術館本館と南ソウル美術館で開かれている。
「私にとって自然は良き師であり、変わらぬ友」と語る閔氏は、新しい韓国絵画を長きにわたって模索してきた代表的画家だ。
今回の展示では「自然との調和」「自然との共存」「自然の中に」「無位」「真如」に分け、自然の変化を心の目で再解釈した連作として紹介。
韓国の伝統的な水墨画を継承しながらも、閔氏の独自の彩色技法が際立つ作品を鑑賞できる。閔氏の作品は抽象と構想を行き来しながら、韓国画の画趣と現代的造形美を表現。
強烈な彩色画から淡い彩色の韓国絵画に至るまで、100余作品が展示されている。ソウル市立美術館本館は6月3日まで、南ソウル美術館7月8日まで開催。