韓日の交流史を知る貴重な3つの展示会、「東アジアの古代瓦―その起源と伝播―展」と「日朝交流の軌跡―対馬宗家文書8万点の調査を終えて」展、そして「高句麗壁画古墳報道写真展」が開催され話題を博している。
◆瓦で知る古代韓日交流◆
「東アジアの古代瓦―その起源と伝播―」展が、東京・お茶の水の天理ギャラリーで開催中(11月24日まで)。
同展は、東アジアの軒瓦を中心に、瓦の歴史と瓦がもつ紋様の美しさを、考古学と美術史の両面から紹介している。
瓦は数千年前、東アジアは中国、東南アジアはインド、ヨーロッパはギリシャでそれぞれ独自に誕生した。
日本古代の瓦は、中国の西周(紀元前11世紀~8世紀)という国で使われたものが起源とされており、直接的には韓半島の百済から伝播した。
日本に瓦が伝わったのは今から約1400年前のことで、仏教文化とともに伝わった。飛鳥寺建立のためにやって来た三国時代の百済の技術者が、瓦の作り方や紋様を日本に伝えたのが始まりとされる。そのため百済の瓦と飛鳥寺創建当初の瓦はよく似ている。
当初はどの瓦にも紋様はなく、無紋の瓦が屋根の一部を覆っていた。やがて独特の意匠を施した軒瓦や棟端を飾る鬼瓦が誕生した。
軒瓦とは軒の先端部分を飾る瓦のことで、屋根を構成する重要な瓦の一つであり、独特の紋様と長い歴史をもっている。さらに、軒瓦に表された紋様は時を超え、やがてその一部は現代の伝統工芸にも生かされる。℡03・3292・7025。
◆朝鮮王朝との外交記録◆
「日朝交流の軌跡―対馬宗家文書8万点の調査を終えて―」展は、長崎県対馬市の長崎県立対馬歴史民俗資料館で開催中(11月25日まで)。
対馬は韓半島から約50㌔ほどの外洋に浮かぶ島で、古代から日本と韓半島、大陸を結ぶ要衝だった。対馬宗家は鎌倉時代後半から明治維新まで約600年間、対馬を治めてきた。
対馬宗家文書は江戸時代に日朝外交を担当した、対馬藩主宗家に伝わった資料群である。35年間にも及ぶ大調査を経て全貌が明らかになり、一部が重要文化財に指定されることになった。
同展は、これを記念しての展示会で、対馬宗家の歩んだ「日朝交流の軌跡」がわかる。
また14日午後1時からは、対馬市交流センターで、企画関連講演会が開かれる。℡0920・52・3687。
◆美しい古代壁画の世界◆
「高句麗壁画古墳報道写真展」は、神奈川県横浜市の日本新聞博物館2階企画展示室で開催中(12月16日まで)。
韓半島の古代国家で現在の北朝鮮にある高句麗古墳群は、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の世界遺産に登録されている。
その中でも古墳壁画は狩猟図や衣服も鮮やかな女性像、繊細な四神図など、当時の生活や風俗を活写し、精神世界を表現した貴重な文化財として、世界的に知られている。また日本の高松塚古墳やキトラ古墳との関連も指摘されている。
同展では、76年前に日本人研究者が発掘した高山洞1号墳(平壌、6世紀)の四神図や、最近発見された玉桃里古墳(南浦、5世紀)の人物図などの写真を展示している。さらに徳興里古墳や安岳3号墳の壁画もあわせて展示し、高句麗壁画の神髄を紹介する。
また、高山洞1号墳と日本の高松塚古墳の石室を実物大で復元、展示している。℡045・661・2040。