新春を迎え、韓日で話題の写真展、美術展などを紹介する。16日から東京・四谷の韓国文化院で始まる「韓国を愛する巧写真展―70-80 過ぎ去った韓国の日常」は、韓国の日常風景を40年以上撮影し続けてきた写真家の藤本巧さんの貴重な写真展だ。
藤本巧さんは1949年島根県生まれ。名前の「巧」は、植民地時代に韓国の民芸をこよなく愛した「浅川巧」を尊敬した父によってつけられた。
1970年8月、20歳だった藤本さんは父親と一緒に初めて韓国を旅した。浅川巧の墓を参拝し、安東や南原などの市場を撮影した。この旅で藤本さんはある民芸研究者から、「朝鮮民芸を理解するには韓国人の生活を理解することが重要である」との助言を受け、それ以来、韓国の日常風景を撮影し続け、今日に至っている。
藤本さんは2010年10月に韓国国立民俗博物館を訪問し、これまでに韓国関連の写真・書籍など4万6377点を3回にわたって寄贈した。
国立民俗博物館ではこの寄贈を受け、昨年8月22日~10月1日まで記念展を開催し、好評を博した。その貴重な寄贈作品を日本で紹介するのが、今回の展示会である。
第1章「民芸」では、骨董の街(仁寺洞)や、慶尚道の「民芸の現場」など。第2章「別天地、韓国の風景」では、歳月をかけて旅した様々な韓国の風景。そこで出会った韓国の住居・生業・信仰・祭りなど。そして第3章「人情とエネルギーで溢れる韓国人」では、
韓国の人々のエネルギッシュな暮らしを紹介している。
26日午後2時からは藤本巧さんの記念講演会「柳宗悦・河井寛次郎・濱田庄司が歩いた道、韓国を再び歩く」が同院2階で開かれる。
また大阪韓国文化院では、同展を2月5日より開催する。
◆水の雫を描く画家◆
金昌烈画伯の個展が、国立台湾美術館で開催中だ。
金氏は水の雫を描く画家として知られ、パリとソウルを行き来しながら活動している。1988年に開館した国立台湾美術館は台湾唯一の国立美術館で、アジアアートビエンナーレなどアジアの芸術交流の先鋒に立つ。韓国人美術家が同美術館で個展を開くのは、金画伯が初めて。今回は、64年から最近までの金氏の主要作品47点を展示した回顧展となっている。
金氏は50年代に韓国の抽象美術の中心人物として活躍し、66年ニューヨークへ渡った。69年からはパリに移住。水の雫を描き始めたのは、パリ時代からだ。材料を買う金がなく、キャンバスを再利用する過程で水の雫の美しさに注目したのがきっかけだ。
今回の個展では、40余年間にわたる「水の雫」の跡を見ることができる。
水の雫は、大きさも形も様々だ。一つだけを大きく描いた絵、数百・数船の水の雫で埋めつくされた絵、ハングルや漢字と融合した絵、にじんだ跡を強調した絵など。20日まで。