韓国を代表する映画監督を輩出し、90年代から2000年代前半の韓国映画ルネサンスを支えてきた韓国映画アカデミー。しかし、最近は有望な映画監督が出ていないため、改革をする必要があると関係者は強調している。
韓国映画アカデミーは実務能力を備えた映画専門人材の養成を目標にし、映画振興委員会によって1984年に設立した。映画振興委員会は、映画発展基金を基盤にした文化体育観光部の傘下機関である。映画発展基金は政府支援金と映画鑑賞料金の賦課金3%を財源としている。
韓国映画アカデミー関係者は「同校は全て映画振興委員会の予算で運営されている。入学金は約200万ウォンだが、奨学金で学ぶことも可能」と語っている。
韓国映画アカデミーは昨年度(28期)までに計526人の卒業生を送り出した。05年(20期)~今年(28期)の演出科の卒業生77人中、監督としてデビューした人は23人。しかし、このうち長編の商業映画を制作したのは 20期生のウ・ソノ監督、25期生のチョ・ソンヒ監督だけである。
以前は同校での修業は映画界で不可欠とされていた。その位置付けが変わったのには幾つかの理由がある。
まず、大学の映画関連学科、韓国芸術総合学校・映像院など、修業できる学校が増えた点だ。映画を作るための装備が希少だった昔と違い、現在はスマートフォンやユーチューブを活用しながら作ることも可能となった。そのために、韓国映画アカデミーが映画監督の登竜門だった時代は終わったと言われている。
しかし一方では、韓国映画アカデミー出身の傑出した監督が少なくなったことに対し、対策を考えるべきとの声も出ている。
第5期生のノ・ジョンユン氏は、「2000年代に入って『監督デビュー作品は遺作になる』という言葉が流行った。この頃、監督デビューするのは比較的簡単だったが、あっけなく失敗することが多々あった。そのため、映画制作者や投資者が新人監督に長編の商業映画を任せるのを渋る傾向が、まだ残っている」と説明した。
10期生の宋ナグォン氏は「2000年代半ばには監督デビュー作品が多く出たが、損益分岐点を超えた映画は全体の約6分の1にとどまった。6人中1人だけが次の作品を作れるだけの低迷期だった」と語った。
韓国映画アカデミー内部では、自省の声が聞かれている。同校の教育課程は演出専攻を中心としており、演出者、プロデューサー、撮影チームが一つになって協力し合う実際の現場とは違ってくるという。同校の学生のうち、演出専攻者は半分以上を占める。映画制作のためには、撮影監督やプロデューサーのような外部人材を迎えることが必要という指摘だ。
同校では05年にプロデューサー科が新設され、2年前に新設されたシナリオ科が演出科に統合されるなど、授業システムの改編が行われている。ハリウッドなどから講師も招き、変革を進めている。その成果が注目される。
韓国映画アカデミーでこのほど、米国ディズニーアニメの巨匠エリック•ゴールドバーグ監督のマスタークラスが盛況のうちに開催された。エリック•ゴールドバーグ監督は、ディズニーのヒット作『ポカホンタス』(95)などの監督として知られている。
今回は、これまで彼がディズニーで作成した作品を上映して、キャラクターを作成する過程などを直接学生に見せ、世界トップレベルのアニメーションの誕生過程を学生に体験させた。今後も世界的に有名なアニメーションの巨匠を招待して、マスタークラスを開催する予定だ。