ここから本文です

2013/12/06

<韓国文化>韓国社会の"光と影"描く

  • 韓国社会の“光と影”描く①

    もんま・たかし 1964年秋田県生まれ。明治学院大学准教授。韓国・中国・北朝鮮を中心とした東アジア映画を研究。著書に「アジア映画に見る日本」(社会評論社)など。

  • 韓国社会の“光と影”描く②

    米軍基地近くの歓楽街で働いていた3人の女性の人生を追った『蜘蛛の地』

  • 韓国社会の“光と影”描く③

    映画『鉄の時代』

 世界のドキュメンタリー映画の新作・話題作を上映する「第13回山形国際ドキュメンタリー映画祭」が、山形市内の映画館でこのほど開催された。同映画祭に参加した門間貴志・明治学院大学准教授に報告をお願いした。

 日本でもっとも重要な映画祭の一つである山形国際ドキュメンタリー映画祭が今年も十月に開催され、興味深い作品を観ることができた。今回はコンペティション部門に初めて韓国の作品が入った。金東鈴、パク・ギョンテ監督の『蜘蛛の地』である。

 金監督は2009年度の同映画祭の「アジア千波万波」部門で上映された『アメリカ通り』で小川紳介賞を受賞している。この作品は米軍基地の街の一角を舞台に、性暴力と隣あわせに生きてきた韓国人老女、そして不法就労の摘発・強制送還が絶えない状況下、クラブで米兵相手に働くロシア人やフィリピン人女性の姿をとらえた作品だった。

 新作の『蜘蛛の地』もまた米軍基地近くの歓楽街でかつて娼婦をしていた三人の女性の人生を追うものである。ドキュメンタリーの部分とフィクションのように撮られた部分で紡がれたスケールも大きな野心作だが、彼女たちの証言が整理され過ぎているのが気になった。


つづきは本紙へ