◆伝統的な価値と秩序捨てず◆
メロドラマとはもともと、楽器伴奏のついた音楽劇を指す言葉だった。だが、その今日的な用法を説明しようとすると、これが意外に厄介である。ただ、定義はともかく、その特徴を列挙せよといわれれば、メロドラマがセールス・ポイントとしているあれこれの要素を、容易にあげることができる。
出会い、別れ、すれ違い、その他もろもろの諸要素を一括して、ここでは「涙の情緒」とよんでおこう。うれし涙、悲嘆の涙、そして前回触れたオモニの血の涙も、観客の情感を揺さぶる情緒的基礎であり、メロドラマの核心的要素となる。
いうまでもなくメロドラマは、日本や韓国の専有物ではなく、洋の東西で古くから愛用されてきたドラマの一形式である。ただ韓国では、この形式による映画を「新派」ものと呼んできたらしい。日本語の新派・新劇・新喜劇などの呼称からの流用だが、新派劇の映画化と考えると、たしかにメロドラマのイメージが作りやすくなる。
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