◆良作の『とかげの可愛い嘘』『奇跡の夏』◆
前回、TVドラマ『オープン・エンディッド』を紹介し、韓国版の「愛と死をみつめて」と呼んだ。しかしそのものズバリ、『愛と、死をみつめて』(イ・ドンヒョン監督、原題は「空の庭園」)という作品があることも付言しておこう。愛と死のあいだに「点」があるかないかがポイントである。主演はアン・ジェウクとイ・ウンジュという人気スターたち。ここでは、アン・ジェウクがホスピスの医師、イ・ウンジュが胃がん患者という設定である。
話がややこしくなるのは、おなじくイ・ウンジュ主演の青春悲恋ものに、『永遠の片想い』というのがあるからだ。こちらのほうは、病弱な若い二人の女性とその共通のボーイ・フレンドとの、純愛の三角関係を扱ったものだが、監督・脚本のイ・ハンが、じつは『愛と、死をみつめて』の脚本も執筆している。05年に主演のイ・ウンジュが、24歳の若さで自殺したことで、この映画にも関心が集中した。
さらにまた、香港映画『愛と死の間(はざま)で』(ダニエル・ユー監督、05年)というのもあって、ここでも、交通事故、心臓移植、短い余命といった常套手段が、メロドラマの玉手箱からつぎつぎと取り出される。不治の病を中心に据えた安易な悲恋ものは、どうやら韓国映画のお家芸ではなくなっているようだ。
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