高円宮記念日韓交流基金の第六回顕彰式が10日、東京・四谷の韓国文化院で行われ、日韓から高円宮賞4件が顕彰された。
「空飛ぶ車いすin韓国」(愛媛県立新居浜工業高等学校、代表=内藤善文校長)は、愛媛県、ソウル、大邱、釜山他で15年活動。
福祉施設から廃棄用車椅子を譲り受け、工業高校の生徒がボランティアで修理し、韓国の障害者施設や福祉センターに寄贈。自分達も韓国を訪問して韓国の学生と共同で修理して、同時に日韓の友情を培う。学校で学んだ技術を活かして、学業の合間に中古車椅子の修理に取り組み、輸送手段を工夫して韓国施設に届けると共に、自分達も韓国の施設を訪問して直接交流するという草の根精神を評価。
「韓日教育交流事業(学校間交流、相互理解教育)」(安長江・韓日教育文化協議会会長)は、一教師からスタートして、40年以上の長期にわたって日韓の教育交流に携わり、私塾同士の交流や学校間の姉妹校提携を仲介する他、韓日児童の美術展示会や、伝統文化の紹介など多彩な活動を継続。
教育現場で一貫して青少年交流に携わり、交流会を組織して直接・間接に広く活動し、日本と韓国の教育分野における共通認識と相互理解の確立に大きく貢献した。その活動の多彩さは特筆に値する。
「日韓親善中学生レスリング大会」(全国中学生レスリング連盟、代表=沼尻久会長)は、茨城県、釜山他で27年間活動。
ジュニア層の育成を目指して中学生によるレスリング組織を設立し、韓国に1週間遠征して、合宿での共同練習とレスリング大会を通して中学生同士の交流と国際親善を図る。両国の選手育成に大きく貢献。
中学生としては珍しいレスリング交流で、四半世紀を超えて継続している。早い時期に海外遠征を経験させることによって、国際的な視野を持つ青少年の健全育成と、国際交流に貢献している。
「生徒ホームステイ事業」(指宿市立指宿商業高等学校、代表=増利裕之校長)は、鹿児島県指宿市と仁川で24年間活動。指宿商業高校と韓国の永化観光経営高校とのホームステイによる相互交流で、長く続いた韓国への修学旅行に加えて、7泊8日のホームステイを実施している。指宿では「おもてなし精神」を発揮した活動が定着。
韓国語授業・修学旅行・ホームステイが一体化して、地域に密着した交流となっている。相手校も観光の専門学校で日本語授業があり、お互いの立地と専門学校の特性を生かした交流を継続している。
渡邉泰造・同基金理事長は、「いくつかの政治問題が日韓関係の障害となっているが、こういう時代だからこそ、両国の青少年のための交流が大切だ。来年は日韓国交正常化50周年、2018年には平昌冬季五輪、2020年には東京夏季五輪がある。両国の交流親善が深まることを願う」とあいさつした。
柳興洙・駐日本国大韓民国特命全権大使は、「民間の交流活動を長年続けている団体・個人にとても感動した。皆さまの努力が、小さな流れから大海となることを期待したい」と述べた。
安藤裕康・国際交流基金理事長は「文化は国境をたやすく越える。日韓は特に隣国であり、人々の文化や心情に共通性があるので、両国の友情を育むことができる。受賞者に心からお祝いを申し上げたい」と話した。
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