「ふたたびの出会い 日韓近代美術家のまなざし―『朝鮮』で描く」が4月4日から、神奈川県立近代美術館 葉山(神奈川県三浦郡)で開催される。20世紀前半の韓日の美術、美術家同士の交流に焦点をあてた貴重な展覧会だ。
◆「近代化」を描いた韓国の画家、朝鮮文化に注目した日本の美術家◆
同展は、藤島武二、土田麦僊、山口蓬春、浅川伯教・巧、山口長男など日本近代美術を代表し韓国に縁の深い作家たち。高羲東、李仁星、李仲燮、李快大、金秉騏ら、日本との交流をもつ韓国近代美術の巨匠たち。そして鳥居昇や荒井龍雄、佐藤九二男、入江一子など、これまでほとんど注目されなかった戦前の在「朝鮮」日本人作家の作品を、最新の研究成果をふまえて多数紹介している。
日本から来訪した美術家は、「京城」の王宮建築、城門などの名所旧跡に目をひきつけられる。しかし移住して「朝鮮」に生活の基盤を根付かせた日本人美術家の目は来訪者とは異なり、この地の伝統的画題を取り上げたり、何気ない家屋の風景に造形的な関心を寄せた。一方韓国の美術家は近代化していく街の風景を描いている。古来の聖地で近代には一大観光地となった金剛山は、韓日の美術家がともに描いた。美術家たちのアプローチや表現の違いもまた、隠された物語を読みとくヒントとなる。
1876年の開国以降、朝鮮王朝、大韓帝国は近代化の激しい波を受ける。1910年の日本による併合は一層の拍車をかけ、北東アジアでも類を見ないスピードで近代化が進んだ。近代建築が建ち並ぶ都市の風景。洋装のモダン・ガールやモダン・ボーイ。伝統衣装を身に着けた若い女性が座っているのは、モダンな品々に囲まれた室内。先鋭的なデザインを見せる雑誌や書籍。植民地支配の精神的苦痛の一方で、伝統とも意識されないほど生活の中に溶けこんだ、飾らない日常の一コマもまた、近代「朝鮮」の一面だった。
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