朝鮮時代の「衣・食・住」を紹介する新春企画展「チャングムが生きた時代―女性たちの生活と服」が、高麗美術館(京都市北区)で開かれている。李須恵・高麗美術館研究員に、同展について文章を寄せてもらった。
◆当時の伝統衣装、忠実に再現 李 須恵(高麗美術館研究員)◆
2003年に制作された韓国MBC製作の歴史ドラマ「宮廷女官 チャングムの誓い」(原題は「大長今(テジャングム)」)は、16世紀に生きた一人の女性の生涯を描いている。幼い頃に亡くなった母親の遺志を継いだ主人公チャングムは、王族の食事を司る「水刺間(スラッカン)」に属す宮廷女官となるが、紆余曲折を経て「医女(ウィニョ)」(女性医師)を目指し、当時の国王・中宗(チュンジョン、在位1506~1544年)の診療を任され、寵愛される。
チャングムは実在した人物である。『朝鮮王朝実録』には30年近く医女として活動し、何度も褒賞を受け、中宗が晩年に重い病に見舞われた際には「私の症状は医女(長今)が知っている」と言わしめたことが記録されている。その記述を基に制作されたドラマチックな展開、素晴らしい宮廷料理の数々、そして女性たちの色鮮やかな衣装が話題となって、チャングムは日本でもっともよく知られる朝鮮王朝の女性となった。
朝鮮時代(1392~1910年)は建国当初から儒教が統治理念となり、学問が重視され、国家はあらゆる制度を儒教に基づいて改定していった。学問を重んじ、科挙制度によって多くの儒学者が輩出された。
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