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2015/02/27

<韓国文化>明治期外交官・若松兎三郎と韓国:共生のための苦悩 第3回                                   大東文化大学 永野 慎一郎 名誉教授

◆米国、中国の領事館に勤務、多様な価値観と見識学ぶ◆

 若松兎三郎は2年7カ月間、ニューヨーク領事館に勤務し、自由奔放なアメリカ社会を肌で感じとった。言語や民族の違いを超越して、多様な価値観を認め合いながら共生への道を模索している市民社会を観察し、ダイナミックに変容している世界情勢を察知した。

 また、ニューヨークを訪問する政府高官など多くの著名人に接する中で外交官としての見識を高めるなど、充実した時期であった。

 次の勤務先は清国杭州領事館であった。明治天皇の信任状を携えての領事赴任であった。領事は大使やその他の外交官に準じた特権免除、すなわち領事特権が認められた責務である。

 領事昇格は責任を伴うが、外交官としてのステータスである。やりがいのある職務でもある。杭州領事館では義和団事件などで活躍の場が少なかった。


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