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2016/11/04

<韓国文化>韓流シネマの散歩道 第26回 動物と人間の不思議な関係                                     二松学舎大学 田村 紀之 客員教授

  • 韓流シネマの散歩道 第26回 動物と人間の不思議な関係

    行方不明の子犬探しを描いた『ほえる犬は噛まない』

  • 二松学舎大学 田村 紀之 客員教授

    たむら・としゆき 1941年京都生まれ。一橋大学卒。東京都立大学経済学部教授、二松学舎大学教授などを経て、現在は同大学客員教授、都立大学名誉教授。

◆牛と人間、子猫と女性、愛犬家…◆

 世界各国の映画には、動物を扱った名作が少なくない。『名犬ラッシー』や『バンビ』、『フランダースの犬』などに涙ぐみ、興奮した記憶が蘇る。

 前回紹介した『牛の鈴音』は、黙々と働く年老いた牛を主人公とした物語だった。

 また、『おばあちゃんの家』は、田舎の祖母に預けられた少年の話だったが、ここに登場する「暴れ牛」が何とも意味深である。

 牛が活躍する韓国映画では、崔夏園監督の『牛』(1975年)が著名である。最近のものでは、『牛と一緒に7泊8日』(2010年)というロード・ムービーがある。農作業を手伝いながら、売れない詩を書いている男が、父親の反対を押しきり、牛を荷台にのせて売りに出る。しかし思惑通りの値段での買い手が見つからない。

 そんな折、友人の妻となってしまった女から、夫が死んだという電話。余計な登場人物が話を混乱させるが、結局は納まるところに納まる。

 一方、馬と女性騎手の愛情を描いたものに、『角砂糖』(2006年)がある。ストーリー展開に格別の新味があるわけではないが、それなりに楽しめる。

 小型の動物に目を向けよう。『うさぎとリザード』(2009年)のタクシー運転手は、不治の心臓病に苦しみ、幼少時の記憶にある赤いうさぎを見つければ生き延びられると信じている。ある日、空港で客待ちしているときに発作に見舞われ、見ず知らずの女の腕をつかんでしまう。

 女は幼くしてアメリカに養女に出され、両親を探しに韓国にやってきた。彼女の背中にはリザード(とかげ)のあざがあるという。この二匹の動物を結びつける謎は、ラストで解き明かされる。

 『子猫をお願い』(2001年)は、仁川の女子商業高校を卒業した5人の若い女性たちが、子猫を友人に託しては旅立ってゆく青春ドラマ。なかでも、ぺ・ドゥナ(裵斗娜)が輝いている。似たような題材を扱った作品に『サニー:永遠の仲間たち』があるが、後者は別途取りあげよう。

 『愛してる、愛してない』(2011年)は、井上荒野の「帰れない猫」を映画化した作品である。

 結婚5年目で別れることになった夫婦の最後の日は大雨。荷物を片付ける妻と手伝う夫。橋が浸水し、最後の夕食を予約したホテルには行けない。妻の男からは電話が掛かってくるし、侵入してきた猫の飼い主がやってきたりする。やむなくこの夜は夫がパスタを作り、妻が手伝う。この二人、本当に別れられるのか。


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