特別展「ほほえみの御仏(みほとけ)―二つの半跏思惟(はんかしゆい)像―」(主催:日韓半跏思惟像展示実行委員会、韓国国立中央博物館、東京国立博物館、NHK)が21日、東京・上野の東京国立博物館で始まった(7月10日まで)。昨年の国交正常化50周年を経て、今年が両国の新たな友好関係を構築していくための元年にあたることを記念し、両国文化交流をより促進していくための展覧会である。
同展は、韓日両国の代表的な半跏思惟像を1体ずつ選び、それらを両国でそれぞれ一緒に展示することにより、両国の友好と絆をさらに深める一つの契機にすべく企画された。
左足を踏み下げ、右足をその膝の上に組んで坐り、右手を頬に添えて思案する仏像を半跏思惟像という。このような坐り方を「半跏」といい、物思いにふける(思惟)こそがその名の由来である。
半跏思惟像は、仏教の母国・インドにはじまり、中国、韓半島、日本へと伝わった。韓半島や日本では、6世紀~8世紀の間に多くの像がつくられ、そのなかには古代仏教彫刻の傑作といわれる仏像がある。
韓国国立中央博物館が所蔵する国宝78号像は、韓国の至宝として広く親しまれており、日本の中宮寺門跡(奈良県)に伝わる国宝の半跏思惟像は、まさに日本を代表する仏像だ。この2体の仏像がともに展示されるのは今回が初めてのことで、まさに画期的なことと言える。
韓国ではすでに、韓国国立中央博物館で特別展「韓日国宝半跏思惟像の出会い」と題し、5月24 日から6月12日まで展示され、中宮寺門跡の配慮により、半跏思惟像が初めて海を渡った。また同展の実施に伴い、重要文化財「紙製文殊菩薩立像」(中宮寺門跡蔵)が中宮寺門跡で展示されている(7月12日まで)。
三国時代の韓半島では、多くの半跏思惟像がつくられた。なかにはもともとの高さが3㍍に及ぶ半跏思惟像の下半身も残っている。日本の半跏思惟像は三国時代の影響を強く受けてつくられた。
国宝78号像として親しまれるこの像は、製作が6世紀後半にさかのぼる。韓国では早い時期のもので、金銅製ながら高さが83㌢ある大作だ。金銅仏らしい鋭利な表現が見られる一方、ふくよかな指をふっくらとした頬に添え、伏し目がちで、口元に微笑を浮かべる美しい作品だ。
韓国国立中央博物館は韓国を代表する総合博物館で、傘下として地方に13館もの所属国立博物館を有しており、その規模としての役割を担っている。収蔵作品は約38万点にのぼり、韓半島のみならずアジア全域の歴史文化を示している。05年に現在地のソウル龍山区に移転、年間入場者数は300万人を超える。
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