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2016/07/22

<韓国文化>東アジアに影響及ぼした儒教とは

  • 東アジアに影響及ぼした儒教とは

    聖王に至る道を記した「聖学十図」(李滉編、1681年刊)

 東アジアに大きな影響を及ぼした儒教について知る「もっと知ろうよ!儒教」展が、東洋文庫ミュージアム(東京都文京区)で開かれている。一方、朝鮮開化期の写真などを展示した「天然堂 寫眞館 アートプロジェクト 大阪展」が、大阪韓国文化院ミリネギャラリー(大阪市北区)で開催中だ。

 東洋文庫が所蔵する儒教関係史料は、世界屈指の質と量を誇っている。「もっと知ろうよ!儒教」展では、日本の国宝『毛詩』、重文『論語集解』などの国指定文化財をはじめ、超難関試験として知られる科挙の最優秀答案『殿試策』、鎌倉~室町時代に日本の禅宗寺院で出版された「五山版」など、他所では見ることのできない貴重史料が一堂に会している。

 展示室内には、キャラクターやイラストをふんだんに取り入れた解説パネルを設置するなど、子どもたちも親しみを感じられるよう工夫を凝らしている。家族で楽しみながら儒教の世界にふれる、またとない機会だ。

 韓半島関連の出展では、『聖学十図』(李滉編、1681年刊)がある。東方の小朱子とも称される李滉(1502~1571)が10代で即位したばかりの朝鮮王朝第14代国王宣祖に献呈したもので、聖王に至る道を10の図を用いて解説している。徹底した内省を出発点とする李滉の学問が明快に表現されており、特に第10図の中心に位置する「敬」の字はその神髄を示したものといえる。

 李滉の学問は彼の門人たちによって慶尚道を中心とする嶺南学派に受け継がれたほか、日本にも伝えられて林羅山、藤原惺窩、山崎闇斎らに大きな影響を与えた。

 『五倫行実図』(李秉模ほか編、1797年刊)は、ハングル創製で名高い朝鮮王朝第4代国王世宗が、慶尚道晋州で起きた父殺し事件に衝撃を受け、古今の親孝行の逸話を集成して民間に頒布することを命じた。こうして1434年に完成したのが『三綱行実図』である。


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