朝鮮陶磁の美を知る展覧会が今夏、3美術館で開催。企画展「朝鮮時代の水滴―文人の世界に遊ぶ」は大阪市立東洋陶磁美術館、「朝鮮王朝 白磁の世界」が高麗美術館、そして「開館50周年記念 東洋・日本の陶磁の至宝―華麗なる美の競演」は出光美術館で開催される。
企画展「朝鮮時代の水滴―文人の世界に遊ぶ」は8月13日~11月27日、大阪市立東洋陶磁美術館(大阪市)で開催。
硯に水を一滴ずつ注ぐ〝水滴〟は、筆、墨、硯、紙の文房四宝とともに文人の書斎を飾る。あくまでも実用品でありながら、文人たちの机のかたすみにひっそりと息づき、心を癒す愛玩品でもあった。
朝鮮時代(1392~1910)においては、その前期にも水滴の作例があるが、18世紀に文芸復興の気運にともなって文人趣味が流行しはじめ、19世紀には水滴が数多く制作された。
動物や果実、家形、山形をはじめとする多様な姿をそなえ、さまざまな文様や銘文がほどこされ、そこには高潔、清貧、子孫繁栄、富貴長命など文人の理想や願望が詰め込まれている。
この時代は儒教が国の指導理念であり、文人や支配層は儒教の思想や徳目の実践に努めた。その主空間が、文人たちが学問に励み、詩文や、書画を楽しみ、思索にふけり、また客を迎えて政治や学問を論じる舎廊房という書斎。そこに飾られる質素で気品ある文房具のひとつが水滴だった。
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