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2016/10/21

<韓国文化>東アジアの現代美術 検証の場に

  • 東アジアの現代美術 検証の場に

    堀浩哉と釜山・東亜大生たちとのパフォーマンス

 世界23カ国121人の作家(チーム含む)が参加した現代美術の祭典「釜山ビエンナーレ2016」が、韓国・釜山の釜山市立美術館とF1963で開催され、好評を博している(11月30日まで)。日本側キュレーターの一人を務めたギャラリーQの上田雄三さんに報告を寄せてもらった。

◆日韓中の歴史的な現代美術の祭典 上田 雄三・釜山ビエンナーレ・キュレーター◆

 「釜山ビエンナーレ」は2000年に「釜山青年ビエンナーレ」として誕生し、2002年に「釜山ビエンナーレ」と名称を変更、これまでに700万人の来場者を集めてきた。9月3日に開幕式が行われ、徐秉洙市長は「釜山ビエンナーレ2016が釜山市が誇る国際的なビエンナーレに成長した」ことを多くの来場者に印象付けた。

 今回の尹在甲総監督(HOW ART MUSEUM館長=上海)は、釜山市立美術館のプロジェクト1では「中国・日本・韓国の前衛」と題して、3カ国の歴史的俯瞰及び検証をする展覧会を企画。日本から椹木野衣(多摩美術大学教授)、上田雄三(ギャラリーQ)、建畠晢(多摩美術大学学長)。韓国から金鑽東(京畿道文化財団)、中国から郭暁彦(北京民生現代美術館)の5名のキュレーションによる各国別の展示となった。

 プロジェクト2のF1963会場では、「混血する地球、多衆知性の公論の場」と題してグローバル時代に誕生した国際的に活躍する若手アーティストたちの展覧会を開催、尹在甲総監督がキュレーションを務めた。

 釜山市立美術館のプロジェクト1「中国・日本・韓国の前衛展」は3カ国の現代美術を歴史的視点から検証する場となり、3カ国が一堂に揃う歴史的な展示となった。

 その経緯となった背景として日本の「もの派」や「具体」、韓国の「単色画『モノクローム』」、中国の1980年代に北京郊外の円明園や東村で起きた一連の美術の動向が、欧米の主要な美術館にてここ数年、数多く紹介されたことで話題を呼んでいることがあげられよう。

 こうした動向からもこれら3カ国の美術作品の価格が香港のクリスティーズ等のオークションによって、高値で取引されていることから、それまでの西洋を追従することの美術史から東洋の独自の芸術・文化(前衛美術)を見直すことで、さらに3カ国の芸術への関心も高まっている。

 こうした要因によって欧米で評価された日本から発信された「もの派」や韓国の「単色画『モノクローム』」の前後の時代に起きた美術史の動向を再制作も含めて展示された。中国は文化大革命以降の世代「星星画会」以降に焦点を合わせた独自の美術運動を中心に展示された。


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