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2017/04/14

<韓国文化>美術で韓・日・在日をつなぐ

  • 美術で韓・日・在日をつなぐ

    「李禹煥展」の説明をする河正雄・光州市立美術館名誉館長

 光州市立美術館分館河正雄美術館がこのほど開館し、開館記念「李禹煥展」が開催中だ。韓国で在日コレクターの名前を付けた美術館がオープンするのは初めてという。河正雄(ハ・ジョンウン)・光州市立美術館名誉館長に文章を寄せてもらった。

◆韓国の美術館文化発展を願い 河正雄・光州市立美術館名誉館長◆

 今年3月3日、光州市立美術館分館河正雄美術館が開館した。開館記念展は河正雄コレクション「李禹煥展」(6月25日まで)である。

 1992年、地方で初めての国公立美術館として光州市立美術館がオープンした。しかし意欲満々かつ立派な入れ物は出来たが、美術館としての内容は看板のみで極めて淋しいものだった。その時、収蔵品は150点余りで収蔵庫は名ばかりの倉庫であった。市の予算と美術館文化の意識、学芸員不足等の課題が山積みとなっており、機能を果たしてはいなかった。

 93年になって姜英奇・光州市長、車鐘甲・美術館長から「美術館を助けて欲しい、育てて欲しい。光州市を愛して欲しい」と美術館の窮状を訴えられ私の美術コレクションの寄贈を要請された。

 73年、初めて父母の故郷を訪問し、ソウルの徳寿宮にある韓国唯一の国立近代美術館を見学した。その建物は栄親王、李方子姫の旧宅石造殿であり、収蔵作品は350点余りのものであった事に私は衝撃を受けた。国の文化を誇りとする美術館の内実が余りにも乏しく、文化の実体を思い知らされ悲しく思った。私は光州市立美術館の要請に応え、収集して来た美術作品を韓国の美術館、博物館文化の発展に寄与する意識をもって寄贈する事を決意し、光州市と絆を結んだのである。

 実は光州市との縁は80年に遡る。光州民衆抗争事件のあった年に、在日一世画家全和凰画業50年展開催準備の為に光州市を訪問し、一人の視覚障碍者との出会いから光州盲人福祉協会設立と会館建設の発起人となった事が光州市との縁の始まりである。こうして「第一次93年」に212点の寄贈から始まり、「第二次99年」「第三次2003年」「第四次2010年」「第五次12年」「第六次14年」と続き、合計2513点が光州市立美術館に収蔵され、私の寄贈作品所蔵率は70%となっている。


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