音楽を通した韓日関係について考える、「日韓音楽教育関係史研究」(藤井浩基著、勉誠出版)が出た。同書出版の意義について、閔庚燦(ミン・ギョンチャン)・韓国藝術綜合学校音楽院教授に文章を寄せてもらった。
◆「日韓音楽教育関係史研究」発刊の意義 閔庚燦・韓国藝術綜合学校音楽院教授◆
日本の朝鮮植民地統治時期(韓国では日帝強占期)の日韓音楽関係史は、日本近代音楽史の一部でもあり、韓国近代音楽史の一部でもある。しかしながら、それに関する研究を韓国の立場から見れば屈辱と恥の歴史研究に該当し、日本の立場から見れば植民地支配の正当化または美化という誤解を招きやすい研究に該当するため、これまでタブー視または無関心で一貫されてきた。
最近出版された藤井浩基氏の「日韓音楽教育関係史硏究―日本人の韓国・朝鮮表象と音樂」は何よりもこのタブーと無関心の壁をうち破り、日韓音楽教育関係史を初めてまとめた著書という点で意義を見つけることができる。そして方法論的な側面においても「日本人の韓国・朝鮮表象」というキーワードと「個人の創作と経験」、「社会的維持」、「歴史的構築」という民族音楽学の研究モデルを適用し、日韓関係史研究の問題と限界を克服しようとした点で、別の意義を見つけることができる。
全体的には、1910年から1945年までの植民地朝鮮とその前後の時期を中心に、音楽をめぐる日本人の韓国・朝鮮表象が、どのように具体的な音楽活動(教育や政策)が実践されてきたかを考察した本である。つまり、本のタイトルだけからみると、日韓間の音楽教育関係史を統辞論的に接近した形になるのだが、内容的には時代ごとに代表する日本人音楽家たちの朝鮮での活動と象徴ある事件を「日本人の表象」という観点から考察することで、その時代の音楽関係史を整理したものである。
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