◆「禁断の恋」の行方を探る◆
前回に引き続き、禁断の恋の行方を探ってみよう。映画で不倫ものについで多いのは、義父あるいは義母に思いをよせる若者の話である。
イタリア映画『禁じられた恋の島』(1963年)という名作が頭をよぎる。父が突然連れてきた若い母と少年の物語である。永い父の不在のあいだに芽生えた恋心は、父が帰ってきたことによって終わりをつげざるをえない。少年は独りボートを漕いで島を去る。
韓国映画で、逆に姉の夫を愛するようになってしまう少女を描いたのが『坡州(パジュ)』 (2009年)。朴贊郁監督らしい、余韻を残すラストが心憎い。
インド旅行を終えて坡州に帰郷した義妹のウンモ(瑞雨が好演)に対し、李善均演じる義兄のチュンシクは、姉は死んだが、その死因は事故死だったと説明するのみで、詳しいことを話そうとしない。これに不信感を抱き、本当の死因を知ろうとするウンモだが、疑いながらもいつしかチュンシクに心をひかれてゆく。
チュンシクが、姉の死は事故によるものだと言い張るのが、じつは義妹への配慮からだったと分かるのは、ウンモが再び坡州を後にしてからのことである。
イタリア映画には上記のような純愛もののほか、M・マストロヤンニ主演の『イタリア式離婚狂想曲』 (61年)、あるいは『ああ結婚』 (65年)など、結婚と離婚をめぐる悲喜劇がある。またアメリカ映画にも、ジャック・レモンが同様の喜劇の主役となる『女房の殺し方教えます』 (65年)などがある。
夫婦のありかたは難題そのものだが、
つづきは本紙へ