渡日半世紀の在日1世、ジュエリーデザイナーの尹得漢(ユン・ドッカン)さんが、世界各地を巡った思い出などをエッセイと俳句で綴った「アッシジの鐘」(ライフコム出版)を上梓した。「イグナチオの鐘」に次ぐ第2弾で、これらの本に滲み出ているのは世界平和への願いだ。尹さんに話を聞いた。
「主よ、わたしを平和のためにお使い下さい。憎しみのあるところに愛を、争いのあるところにゆるしを、分裂には一致を、迷いのあるところ疑いには信仰を、誤りには真理を、絶望には希望を、悲しみには喜びを、暗やみには光をもたらすことができますように」
これは中世イタリアにおける最も著名な聖人のひとり、聖フランシスコの「平和への祈り」の一節だ。
敬虔なクリスチャンでもある尹さんはこの詩を「最も印象深い心の糧」にしている。
「憧れの地、イタリアのアッシジを初めて訪れたのは1975年だった。教会がたくさんあり、タイムマシーンで行ったかのように1000年前の面影がそのまま残る魅力的な街だ。聖フランシスコの悠久の時に触れてみようと登った山の上の洞窟住居には、厳しい信仰生活を象徴するかのように石のベッドがおかれていた」
「彼は貧しく素朴、奉仕と献身を最後まで貫き、窓辺の小鳥たちや生きとし生けるものすべてに教えを説いた。地球は宇宙から見れば砂粒のような小さな惑星であり、すべての生き物たちが片寄せあって共存共栄していくべきだと信じている」
つづきは本紙へ